製造業にとって、最少の工数として行きたい間接業務。業務改善を進めるステップの7番目、“あるべき”破壊について紹介します。
YouTubeの動画でも同様の内容を解説しています。ぜひ動画でもご確認ください。
業務改善の最大の敵とは?
業務改善を進めるということは、“今と仕事のやり方を変える”ということです。その際に敵になる思考として“こうあるべき”という思い込みがあります。こんなことはありませんか?
- 議事録は体裁も完璧であるべき
- 物事の決定は、会議で対面で行うべき
- 業務連絡は電話でするべき
- 新人は苦労するべき
こういった思い込みは業務改善を進めるとなった場合にストップをかけるだけでなく、業務改善どころか必要のない余計な仕事を逆にどんどん増やしてしまいます。
本題から少し離れてしまうかもしれませんが、DX(デジタルトランスフォーメーション)の本質は、デジタル活用ではありません。トランスフォーメーションすることです。このとき、“こうあるべき”を脱却していかなければならないです。
言い換えると、これまでの“こうあるべき”を脱却した先に真のDXがあると言えます。業務改善も全く同じで、当たり前だと考えてきた“こうあるべき”を脱却しなければいけません。
業務改善で気を付けたい言葉
さて、“こうあるべき”の思考に固まっていないか気を付けないといけませんが、こんな言葉を使っていないか気を付けてみてください。
「それはウチとかこの業界の慣習だから」
「それは当たり前でしょ」
「普通こうするよね」
「ウチの伝統だから」
こういった言葉があって仕事のやり方を変えられない場合は要注意です。
“こうあるべき”に縛られてしまっています。
業務のやり方やプロセスを決めるとき、こんな言葉があったら「本当にそうじゃなきゃダメ?本当の本当に??絶対??」と自問してみましょう。特に、伝統や慣習に対する反対が強くなることは予測されますが、勘違いしてほしくないのは、業務改善は“過去の否定ではない”ことです。
過去には、それまでの経緯や使用できるテクノロジー、蓄積されたノウハウ、作業環境、法令・規制など、さまざまな背景があって、今のやり方になっているわけです。それらの前提条件が変わったので、今の業務の在り方も変わる。それだけのことです。
例えば、この記事をお読みの皆さまのほとんどは、お米を炊くときに炊飯器を使用しているのではないかと思います。
お米を炊く作業は、
- 水に浸ける
- 弱火でじっくり炊く
- 強火で炊く
- 蒸らす
の工程を経て行われていました。そこに炊飯器が登場し、全ての工程を自動で行ってくれるようになったわけです。このとき、
「弱火で炊くときは火加減をずっと見ているべき」
「強火にしたときには吹きこぼれないように蓋をおさえるべき」
「米は直火で炊くべき」
というようなことを言って炊飯器を使わない人はほぼいないでしょう。
※一部の本格派の方は除きます。
洗濯機も同じですね。
「洗濯板でちゃんとこするべき」
「手を冷たくさせる苦労を味わうべき」
などと言っている人はいないでしょう。そもそも、今の業務もこうした当たり前を脱却してきたものと理解しましょう。
業務改善の目的とは?
さて、業務改善のそもそもの目的に立ち返ってみましょう。よく勘違いされてしまうのは、「業務を効率化して少ない労力で仕事をすること」という目的です。たしかに、経営の面で言えば人の作業時間が減って残業代が減れば経費を削減でき、利益を大きくできるので目的の一つになります。
ただし、これがメインの目的になってしまうのは少し危険な気がすると思うのです。極限までコストダウンを求めてられた結果、検査の不正や検査データの改ざんなど、自動車業界を中心に締め付けられた現場が悲鳴を上げています。
また、現場に対しては「残業減らせ!」→「給与が減る!」という解釈もされかねず、モチベーションが保ちにくいため、目的とする業務改善が達成できない心配があります。
こうした“マイナス”な目的ではなく、むしろ“プラス”の目的で業務改善を行う方が良いと筆者は考えています。
「新しくこんなこと始める!だから既存の業務をラクにして、時間を作ろう!」
というような前向きな目的を作ることが大切です。
弊社がこれまでに関わってきた業務改善の案件においても、成果につながったプロジェクトは全て前向きな目的があったものでした。反対に、マイナスな目的だった業務改善のプロジェクトは、ほとんどうまくいかないか、仮に業務改善できたとしても現場には悪い空気が流れたものばかりでした。
(大いに反省しています。。)
是非、前向きな“プラス”の目的をもって業務改善を進めてください!
おわりに
ここまで、全7本に渡って業務改善の進め方を紹介してきました。ブログ記事やYouTube動画を参考にしていただき、どんどん業務改善を進めていただければありがたいです。
もし、進める中でお困りごとがございましたら、ぜひ遠慮なくご相談ください。
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