製造業にとって、最少の工数として行きたい間接業務。業務改善を進めるステップの6番目、アクション議事録について紹介します。
- 業務棚卸表による業務の見える化
- ECRS
- グランドルール
- ステークホルダーマッピング
- 業務改善体制図
- アクション議事録
- “あるべき”破壊
YouTubeの動画でも同様の内容を解説しています。ぜひ動画でもご確認ください。
業務改善における議事録の役割
会議や打ち合わせの議事録を取っていますか?中小企業では議事録はほとんど取っていないという企業もあるでしょう。反対に、議事録を取ることは当たり前に実施している企業もあるでしょう。ここで改めて議事録が果たす役割を考えてみると一つの概念に行き着きます。
【情報格差を作らない】ことです。
情報格差を作らないことによって、メンバーの行動の方向性を一致させることができ、課題解決や計画実行に向けた労力の集中を図ることができるのです。
議事録と聞くと、「言質(げんち)を取る」「証拠を残す」のように尖ったイメージがあるかもしれませんが、それではマイナスの感情が働き、チームがギスギスしてプロジェクトを前向きに進めることができなくなります。そうではなく、議事録は目的を達成するためのコミュニケーションツールだと考えましょう。
業務改善を進めるための議事録に書くべき項目
議事録と言われても、具体的に何を書いていますでしょうか?
- 決定事項だけ書く
- 発言者と発言内容まで詳細に書く
など、その企業や組織の文化によってさまざまだと思います。議事録は重要で目的を達成するために書く必要がありますが、あまりに作業工数が増えてしまっては時間のムダになってしまいます。余談ですが、とある大企業ではこんなことがありました。
会議に出席した担当者が議事録を書き、上司に見せると「あの発言が抜けてる」「あの人はこういうニュアンスで言っていた」と修正指示を受けて書き直します。こうして修正した議事録が完成するのは翌日となり、翌日に送付すると他部署の部門長から「この内容が書かれていない」「ここはそういうニュアンスで言ったわけじゃない」とお叱りを受けて修正し、再度メールで配信します。
ただ、肝心のアクションを起こすべき担当者はそんな議事録を見ることなく、その会議で決まったことを粛々と実行しています。この議事録を書いていた人の仕事って一体何なんでしょう?
そして、その議事録をチェックしている上司の仕事って何なんでしょう?
私はそんな議事録文化をソッコーでやめさせて、書くべき項目を絞り、会議終了後1時間以内に共有するようにしました。議事録の書き方を変える前後でプロジェクトの進行に関する変化はありませんし、議事録担当の負担は減り、上司の確認作業もなくなりました。
議事録を書く作業、確認する作業に苦しんでいる方は是非とも参考にしてください。さて、議事録が業務改善の目的を達成するためのコミュニケーションツールとしての役割を果たすためには何を書くと良いのかを紹介しましょう。
- ゴール
- 決定事項/未決定事項
- アクション
- その他(日時・場所・出席者etc…)
この4点に絞ってください。それでは一つずつ見ていきましょう。
ゴール
議事録に書くべき会議のゴールなんですが、これは会議の前に決めておきましょう。これは業務改善に限ったことではありません。会議のゴールには3種類あります。
- 連絡・報告(情報共有)
- 判断・決定
- 議論
です。会議の目的と言い換えても良いかもしれませんが、いずれにしてもこの3種類のうちのどれなのかを定めておくことが重要になります。
そして、「この会議のゴールは○○を決めることです」「この会議のゴールは賛否関係なくプロジェクトの今後の方向性に関する意見を出しきることです」など、出席者に事前に連絡しておきましょう。
例えば、会議案内で「~~について」や「~~の件」などのタイトルをよく目にしますが、この文面では会議で何をするのかがあいまいです。具体的なゴールをきちんと定めましょう。
決定事項/未決定事項
会議の中でメンバーに確認して正式に決まったことや、みんなで議論や確認をしながら決まったことがある場合には、その決定事項を書き残しましょう。そして、決めるのを持ち越した未決定事項についても書き残しておくことも重要です。
決定事項を残す企業は多いと思いますが、この未決定事項を記録として残す企業は多くありません。
「あの件ってどうしたんだっけ?」
「あの件は何をするんだけっけ?」
という会話が会議の中で聞かれたら要注意ですね。決めるのを持ち越した件について、いつ決めるのか、何を待ってから決めるのか、持ち越した理由まで書き添えてあるとベストです。
そして、この会議で決まったこと【正】としてみんなが行動することも重要です。例えば、会議が終わった後に「実は私はこう思うのでこうしますね。」などと上司やキーマンにこっそり連絡して会議で話していない行動をする人もいますが、それは完全に排除してください。
そうしないと、会議の意味がなくなりますし、「だったらそっちで勝手にやってくれよ」と議論していた他の出席者のモチベーションが下がり、結果的に業務改善の進行にマイナスの影響を与えます。この点はくれぐれも注意してください。
アクション
アクションとは、会議で明確になってきた“具体的に実行するべき行動”のことです。
- 直近で、
- いつ、
- 誰が、
- 何をするか
を明確にして書き残しましょう。もしこれが書けないようであれば、一体何をするための会議だったのか、その会議や打ち合わせはヤバいと言わざるを得ません。ゴールが明確になっていない会議の場合、最後のアクションがうまく書けないことがあります。
うまく書けない場合には、「そもそもこの会議の目的やゴールはなんだったっけ?」と考え直してみるのも良いでしょう。アクションについては、会議の終わりに改めて確認することでしっかりとクロージングすることができますので、ぜひ実践してみてください。
おまけ
会議や打ち合わせを効率的に進めるための2つの小技についても合わせて紹介しておきます。
“粒”の大きさ
議題に上がっている内容、決定事項、アクション、全てに言えることですが、内容の“粒”の大きさを意識して区別できると、アクションの具体性を増すことができます。
例えば、大・中・小で以下のような区別があります。
大:ITシステムを入れ替え、人員を増やす
中:情報共有のための掲示板を作る
小:メールの「お疲れさまです。○○です。」をやめる
方針の決定事項なのか、具体的な個人レベルの行動なのかを意識して使い分けられると良いですね。
決め方を決めておく
会議や打ち合わせのゴールが、何かを判断して決定することだった場合、何が判断基準になりそうなのかを予め決めておくと議論がスムーズです。例えば、
- 効果の大きさ
- 取り組み期間の短さ(長さ)
- 範囲の狭さ(広さ)
- コストの低さ(高さ)
などの判断基準を用意しておけば、それぞれの判断基準に合わせで整理しながら議論を行うことができます。
おわりに
今回は、業務改善を進めるための議事録の書き方について紹介してきました。YouTube動画では、アクション議事録のフォーマットの例も紹介していますので、ぜひご覧になってみてください。
そしてこのアクション議事録は、できれば画面共有をして会議中に作成しながら進めると、出席メンバーの認識を合わせることもできて会議時間の短縮や議事録作成や確認作業の短縮にも繋がります。
プロジェクトを頓挫させないためにも、議事録作成業務に苦しまないためにも、このアクション議事録を使って業務改善を進めましょう!
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