なぜ”品質”か~元”品質嫌い”が語る4つの学習転機~

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なぜ”品質”か~元”品質嫌い”が語る4つの学習転機~

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さて、今でこそ自分は”品質”を軸としたあらゆる産業現場の改善/改革活動を支援しているわけですが、前回の記で、元 “品質嫌い” だったときの状況と心境を紹介しました。

今回は、そんな “品質嫌い” が何をきっかけに変わっていったのかを紹介します。もしかしたら、人材育成のヒントになるかもしれませんので、参考にしてください。

転機①:新工場立ち上げ業務への関与

入社3年間ペットボトル開発部門にいたのちに、生産工場の品質課に異動してから2年目になろうかというときに、開発部門にいた際に携わった新規事業製品の2号ライン新設に伴い、当該製品の開発経験を踏まえて、新工場・新規ラインの設立に品質部門としてとして関わることになりました。

そこで、ISO9001にまつわる品質マニュアルや規定や標準などの見直しおよび新規作成業務を担当することになったのです。

当時の上司は、直接的にはISO9001とはあまり言いませんでしたが、自分が仕事のやり方に関する質問をしたり提案をすると、

「マニュアル見て。」
「手順書改定しといて。」

ということを言いました。(けっこうぶっきらぼうでしんどかった。。。)

これをきっかけにして、はじめて品質マニュアル・規定・標準に触れることになったのです。

実はこの「マニュアル」という響きが自分は好きではなかったため抵抗があったのですが、読まざるを得ない状況になり、仕方なくやったというのが本音です(笑)

いざ向き合ってみると、

「自分が知らないところにいろんなルールがちゃんとあって、ちゃんと決まっていたんだなぁ」

と感じたことを覚えています。

この新工場立ち上げは4ヵ月の期間現地で臨在し、それ以外の仕事はほぼなく、深く携わっていました。当時はあまり意識することがなかったのですが、この時の業務こそが「仕組みづくり」だったのだと後になって感じました。

転機②:自分の工場の「仕組み」って?

臨在期間を終えて工場に戻ると、少し現場の見え方が変わってきた自分に気が付きました。

日常で行っている定例会議や単純作業や巡回されている帳票類は、全て規定・標準に定められていることを意識すると、

『全ての業務を取り巻く「仕組み」の中で日常業務が行われているんだな』

と感じることができるようになったのです。

当時の品質課長は、まさにその工場の仕組みを構築してきた人であり、ほぼすべてのマニュアルの作成者・確認者のところに名前が残っているような人でした。

その人に、自分の気づきに関して報告し、ディスカッションをしていくうちに、

「品質課は生産工場のコントロールタワーだ」

という事実にたどり着きました。

そうです。

品質とは材料の納入から出荷・納品までの生産の仕組みそのものを構築/管理する非常に重要な役割を担っている

この気づきが非常に自分の中では大きな転機となりました。

転機③:生産現場知識の開発部門への展開

その後再び開発部門に異動になり、そこでの3年間で大きく考え方が進化(深化)することになったのです。

まず開発部門にいる周囲から自分に向けられる目が以前とは違いました。

「生産現場をちゃんと知っている人間」

として見られることになるのです。

実は、その当時の開発部門の先輩たちは、入社直後に生産部門に配属され、おおむね1年以内くらいに開発部門に再配属されたのち、ずっと開発部門にいる人たちでした。

きちんと生産部門にいてきちんと生産がどのように行われているかを知っている人は、実はあまり多くなかった(ほとんどいなかった)のです。

「現場だと、こういう場合どうしてるの?」
「開発がどうしていったら生産現場は困らない?」

というような質問を受けることになりました。

そのとき、そもそも開発の仕組みや果たすべき役割ってどうなっているんだろう?という疑問を持ち規定を調べたり品質保証部門の人たちと会話をしていくうちに、デザインレビューの在り方やその意味について理解を深めることができました。

DR1が開発着手判断
DR2が金型製作判断
DR3が量産試験以降判断
DR4が生産移行判断

これを基軸として、どの段階で何をどの基準で判断して投資を決めなければならないかがおおよそ決められており、自分たちはこの規定が定める仕組みの中で開発を進めるべきなんだ、という、開発作業ではなく開発の仕組みそのものに目を向けることができたのです。

転機④:みんな意外と “品質” 知らないんだな

さて、その後いろいろあって転職することになり、技術コンサルタントとして新しいメンバーと活動していくと、

「設計・加工やプログラミングなどの専門技術は優れているけど、”品質” をきちんと知らないな」

ということに気が付き、そこを自分の武器としていこうと考えました。

とりわけ、「品質=検査・測定」という認識の人が多く、品質保証部門が担う役割なんて全然気が付いていないという事実は、自分の武器に気が付けた嬉しさよりも、むしろ危機感を覚えました。自分たちが提供するソリューションの品質を保証する仕組みがないという事実に気が付いていないのかと。

そして、”品質” をより鋭くとがった武器にするべく、具体的行動として、QC検定1級の合格と、ISO9001審査員資格を取得することにし、私自身はさらなる進化(深化)をすることに成功したのでした。

私自身が”品質”に対する理解を深めていった過程を紹介しました。”品質”が担う重要な役割に気が付くと、業務のプロセスの在り方や本来あるべき姿と現状のギャップ等にも目が向けやすくなりました。

“品質” が重要だと考えるポイントについては、別の記事で紹介していきたいと思います。

乞うご期待!

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著者

大原 健佑

出身:長野県長野市 最終学歴:東北大学 工学部 金属工学科 卒
保有資格:中小企業診断士・QMS審査員補/2015 (JRCA登録番号:A22594)(ISO9001審査員資格) ・QC(品質管理)検定1級 ・フォークリフト ・床上操作式クレーン ・玉掛け

ものづくり企業の生産性向上と人財育成を促進する専門家。
「現場が自ら動く!」「現場に任せる!」「業務改善を圧倒的に加速させる!」「技術開発を確実に進める!」をベースに、各ものづくり企業の業務改善プロジェクトに参画し、プロデュースを行っている。