21位!
この順位、何の順位なのかわかりますか?
答えは、OECD加盟国36か国中の日本の労働生産性です。(※2018年調査結果)
※参照:労働生産性の国際比較
世界の中で後れを取る日本で、働き方改革も含めて生産性向上が大きな課題となっています。
特に日本の産業を支えている製造業においては、生産性向上は最重要課題なのですが、日常の生産活動に追われてなかなか効率化が進まない現状があります。
今回は、製造業において生産性を下げている原因は何なのか、またどのように改善・効率化すれば良いのか、それぞれ5つのポイントで紹介していきます。
目次
製造業が生産の効率を下げてしまう5つの原因
さて、製造業における生産性を下げる原因は大きく以下の5つです。
- 人材不足
- 進まない標準化
- 作業ミス
- 部品調達・在庫管理
- 部署間のコミュニケーション
ひとつずつ見ていきましょう。
原因①:人材不足
本来のアウトプットの能力はあるのに、各工程に必要な人が集まらないがためにラインを動かせない、あるいは、とある工程に人がいないためにその工程がボトルネックとなってしまいうパターンです。
人材の採用が困難な時代ではあります、それに加えて離職率も高い状態だと、状況は苦しくなる一方ですね。
また、一部負荷のかかる工程では残業代も多く発生すると同時に従業員の満足度が下がり、結果として人件費の増加につながってしまうこともあります。
原因②:進まない標準化
人に依存しない作業品質を達成するためには、マニュアルを作成するなどの作業の標準化が必要になります。
この標準化は、製造業における生産工程を効率化するためには必須の考え方です。
ところが、日常の作業に追われて改善の時間が確保できず、結果的に作業は現場の従業員に依存してしまい、標準化が進まないパターンをよく目にします。
そうした現場では、ベテランと新人の間で作業品質の差が生まれて品質にばらつきが生じますし、なによりノウハウが個人にばかり蓄積されて組織に蓄積されないという問題も生じます。
原因③:作業ミス
ミスは、ミスをした人が悪いのではなく、標準化も含めて、作業ミスをするやり方になってしまっていることが問題ですね。
作業ミスは、手直しややり直しなど、生産効率を下げる原因になります。いわゆる“ポカヨケ”など、ミスを減らすための設備導入などで削減がある程度可能で、ミスの起こらないやり方を考えなくてはいけません。
原因④:部品調達・在庫管理
製造工程をスムーズに進めるためには、部品不足がないような適切な調達が必要であると同時に、過剰な在庫を抱えてしまわない在庫管理が必要になります。
例えば、部品の調達が遅れると工程が進められませんし、製品在庫が必要以上の過剰になれば、ラインを止めで生産調整をしなければならず、生産性に影響します。
原因⑤:部署間のコミュニケーション
製造業に限らないかもしれませんが、製品を作るための全体の工程は必ず複数の部署が関わっているものです。従って部署間のの連携はものづくりにはとても重要なことなのです。
情報や物品の連係ミスがあった場合には、大きな生産ロスにつながる可能性があります。
製造業の生産性向上を実現する効率化・改善の5つのポイント
さて、製造業の生産性向上を実現するための効率化・改善のポイントは、以下の5点と考えています。
- 5Sによる効率化
- 動作改善による効率化
- 工程改善による効率化
- 段取り方法改善による効率化
- 設備レイアウト改善による効率化
それぞれ、一つずつ見ていきましょう。
ポイント①:5Sによる効率化
製造業の世界では言わずと知れた基本中の基本でもある5S。
実行方法などの詳細は下記のリンクをご覧ください。
>>5Sを定着させる6つのステップ~製造業の基本を徹底的に~
これまでコンサルティングをさせていただいた経験の中でも、効率の良い現場は5Sが良くできています。
作業効率に直結しないようで、実はかなり重要なんですよ!
ポイント②:動作改善による効率化
細かくは、「サーブリック分析」と呼ばれる手法を用いて分析することになりますが、各作業にける動作のムダを分析していきます。
例えば、両手は同時に動いているか、手待ちがないか、姿勢は適切か、時間が不必要にかかっていないか、担当者によって大きな差がある作業はないか、などの視点で見ていきます。
主に、組立作業なんかで良く適用される方法ですね。
ポイント③:工程改善による効率化
複数の工程がある製品は、一部の工程がボトルネックとなると、結果的に1つの製品を作るためにかかる時間(=タクトタイム)が長くなります。
複数工程にわたる製品の場合には、ボトルネックである工程を探し、その工程がボトルネックとなっている原因を分析して工程を組み替えるなど改善することで、タクトタイムを短くすることができ、生産性を向上させることが可能です。
ポイント④:段取り改善による効率化
ひとつの工場で多くの品種に対応するような多品種少量の生産ラインの場合には、製造する製品を切り替えるための「段取り替え」が発生します。
段取り替えに時間を要すると、生産している時間が長くなってしまうため、この段取り作業を如何に短縮するか、あるいは、ラインを止めての段取り作業の前に予め準備しておくなどの「外段取り化」を進めることが大切です。
ポイント⑤:設備レイアウト改善による効率化
工場内の製品の導線を考えたとき、機械設備をどのように設置するかは効率化に大きく影響します。
ライン生産、セル生産など、生産方式はさまざまですが、現状で製造している製品の特徴や生産体制、製品の流れや人の導線を踏まえて、どのようなレイアウトが最適か、よく考えて工場のレイアウトを作ることが大切です。
製造業における生産性効率化の効果
ここまで一つ一つを見てきましたが、いずれも本来の目的は生産性向上でありながら、ミスを減らしたり、品質を安定させたりする方法の延長なんですね。
作業のやり方が効率的じゃないからミスが出る。
ミスが出るからやり直したり生産性を下げる。
人によって品質がバラバラ。
などの現象が起こるのであって、現場の少しずつの積み重ねが、生産の効率化、品質の安定化、延いてはコストの削減、顧客満足度の向上、売上の安定、企業の成長などにつながります。
この記事では、世界の中の日本の労働生産性から話は入りましたが、結局やることは現場の効率化の積み重ね。
これまでのやり方にこだわることのない、「そもそもこの仕事をどうやったら良いのか」部分最適じゃなく全体最適で考えたいものです。
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