製造業の文書管理に困らない!ISO審査員が教えるドキュメント作成の3つのポイント

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製造業の文書管理に困らない!ISO審査員が教えるドキュメント作成の3つのポイント

ドキュメント作成

筆者はISO9001の審査員の資格をコンサルティングに生かした活動をしていますが、

「文書が増えて作成と管理が大変!」

というお客さまからのISO9001に関するお悩みをよく聞きます。

この記事では、そんなとても面倒に感じる文書(ドキュメント)の管理方法を少しでもラクにする、文書(ドキュメント)の作成方法のポイントを紹介していきます。

ISO9001が求めるモノ

筆者は製造業出身のコンサルタントですが、今やISO9001は製造業界のスタンダードと言ってもいいくらいに浸透してきていますね。

従業員10数名の小規模事業者でも認証取得を受けている企業は多くありますし、得意先との取引継続や新規取引先の開拓においても、ISO9001認証取得がマイナスになることはありません。

それではまず、そもそもISO9001がどんなことを求めているのかを見ていきましょう。

ISO9001の要求事項の中では、確かに“文書化した情報”を求める箇条がいくつもあります。

また、それ以外にも“明確にしなければならない”、“確実にしなければならない”という記述が各所にあり、解釈によっては文書(ドキュメント)を作成して細かい記録を全て残しておくことを要求してるようにも思えます。

ISO9001運用改善のコンサルタントとしてご相談いただくお客様の中には、適合性を重視するあまり、そういった要求事項に書かれた内容を忠実に守ろうとするばっかりに、現場や管理部門が作成する文書(ドキュメント)が増えてしまう、ということが起こってしまっています。

文書(ドキュメント)管理の3つのポイント

社内でドキュメントをきちんと管理しようと思ったとき、ポイントが3つあります。

1. Quality(ドキュメントの品質)

2. Mind(ドキュメントに対するマインド)

3. Technic(ドキュメント管理手法やツール)

この3つが揃って、初めてドキュメント管理がうまくいくものだと考えています。

 Qualityに関しては、見て学んで実践するだけでドキュメント品質が上がるように、解説動画の中で詳細に説明していますので、ぜひご覧になってください。

手順通りに進められれば、きっとムダなドキュメントを増やすことなく、尚且つそれぞれが質の高いドキュメントを作ることが可能となっています。

ぜひ、ご覧になってください。

Mind

ここでいうMindとは、ドキュメントを作成する人、ドキュメントを見る人、ドキュメントを管理する人、など、ドキュメントに関わる人全てのマインドを指します。

・このドキュメントの位置づけ

・このドキュメントが果たす役割

・このドキュメントのあるべき姿

を関係者全員が意識できているかどうかポイントになります。

関係者全員の意識を揃えるためにも、ドキュメントの品質は非常に重要になってくるのです。

品質の低いドキュメントをちゃんと管理しようとは思いませんからね(笑)

Technic

ドキュメント管理の管理手法は、端的に言えばIT活用です。

保管や検索に当たって、項目やキーワードが整理されているかどうか、言い換えると、どのように保管しておくべきか、どのように検索されることを想定しているか、をきちんと設計した上で、仕組みやツールを適用していく必要があります。

ありがちなのが、ただ単にとにかくツールに格納してしまうこと。

これでは、

「一つのフォルダの中にたくさんファイルがあって探すのが大変!」

という状況と何ら変わりありません。

つまり、このドキュメントを管理するためのITツールも、ドキュメントの品質が高くないと何の役にも立たないものになってしまうんです。

また、どんな検索がされるものなのか、検索したいときにみんなが使ってくれるようなものなのか、Qualityと同時にMindも必要なモノになってきます。

ところが、意外と“逆”をやりがちです。

ITツールから考えたがる。。

それではうまくいきません。

あまり小手先のツールに走りすぎないようにしましょうね!

ここで1つテクニックの例をご紹介します。

まず、QMS文書は品質マニュアルで管理された通し番号で管理していることが多いと思います。

必要なドキュメントは、必ずこの通し番号で探しやすくまとめておくと良いでしょう。

PCのエクスプローラーの機能で例えると、文書の番号ごとのフォルダがあるイメージです。

加えて、以下の項目でも検索できるようにステータスを付与します。

・プロセス名(製造プロセスや管理プロセスなど)

・作成日

・キーワード(キーワード1, キーワード2, ・・・など複数でも可)

これを行っておくことで、例えばこんな検索ができます。

「設計 DR X社 yyyy/mm/dd~yyyy/mm/dd」

→yyyy/mm/dd~yyyy/mm/ddに実施したX社向け製品のDRの記録

「●●(製品名) NC キズ yyyy/mm/dd~yyyy/mm/dd」

→yyyy/mm/dd~yyyy/mm/ddにNC工程で発生した●●のキズ

自社の場合、“どのように検索されるか”を改めて考えてみてください。

QMS管理番号だけで保管していることで、ISO9001の認証には問題ないでしょう。

しかし、それでは事務局と現場の乖離があり、活きる文書管理にはなりません。

ISO9001の本来の目的は文書を管理して認証の取得/維持をすることではないことに立ち返り、現場に活きる文書管理を心掛けましょう。

おわりに

パソコン

筆者は、製造業出身のコンサルタントですので、実際に製造や設計の現場でどのように文書を検索するのかをイメージすることができます。

残念ながらISOのための文書管理しかされていない企業も多い中、現場で活きる文書管理をしている結果、ISO9001認証を取得できている状態が実現できれば、品質の改善、延いては経営改善につながる活動が実践でき、競争力の源泉になります。

・自社の文書管理は現場に活きるのか疑問をお持ちの方

・ISO事務局と現場の間の壁をどのように壊していったら良いのか分からない方

・自社に適した文書管理システムの構築をお考えの方

・自社の業務に合った文書(ドキュメント)の作り方を検討している方

など、ISO9001の文書管理についてご質問等がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。

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著者

大原 健佑

出身:長野県長野市 最終学歴:東北大学 工学部 金属工学科 卒
保有資格:中小企業診断士・QMS審査員補/2015 (JRCA登録番号:A22594)(ISO9001審査員資格) ・QC(品質管理)検定1級 ・フォークリフト ・床上操作式クレーン ・玉掛け

ものづくり企業の生産性向上と人財育成を促進する専門家。
「現場が自ら動く!」「現場に任せる!」「業務改善を圧倒的に加速させる!」「技術開発を確実に進める!」をベースに、各ものづくり企業の業務改善プロジェクトに参画し、プロデュースを行っている。