製造業の現場において常に課題として上がってくる“教育”。
昔の世代の人は、
「見て覚えろ!」
「体で覚えろ!」
「盗め!」
と、きちんとした教えを受けてこなかった世代でもあります。
ところが、昨今ではそんな時代はとっくに終わっており、体系的な教育制度が人材育成の王道であるとともに最短ルートでもあると思います。
そして、教育制度のない企業には若い人材が定着しにくい事実もあります。
さて、今回は、そんな教育について考える上で必要な教育の段階に関する考え方について紹介します。
レベル1:知らないしできない
まず一番下のレベルです。
新入社員に初めての作業を教えるときにも、その作業そのものを知らなかったりすると何が分からないかも分からないくらいの状態からスタートすると思います。
この状態のレベルに対しては、まず、その作業が何のために行われているどんな作業なのかを知ってもらう必要があるわけです。
この“まず知ってもらう”をすっ飛ばしていきなりやらせると、ミスをしてしまうどころか安全面でも危険です。
「知らないしできない」
という状態があるということをまず知っておきましょう。
レベル2:知っている(が、できない)
レベル2は、ただ単に知っているという状態です。
話を聞いたことがある!
テレビや動画で見たことがある!
そんな状態ですね。
教える相手がこの状態にいるときには特に注意する必要があります。
本当は知っているだけなのに、できると勘違いしてしまう人もいるからです。
知っているだけなのか、できるのか、この区別を意識した教え方が必要になりますね。
レベル3:できる(ちゃんと考えればできる)
教えられることに対して、知識もあって、ちゃんと考えればできる、まだまだ目が離せない状態です。
とはいえ、本人が“ちゃんと考えれば”できると自覚しているのであればそれほど問題ではありません。
慎重に進めようとするからです。
本当はまだまだこのレベル3の状態なのに、次のレベル4の状態にいると勘違いしてしまわないようにだけ目を配っていてください。
このレベルの人に対しては、何をどのように考えればできるのか、注意点のみを教えてあげると良いでしょう。
レベル4:実践できる(考えなくてもできる)
教える側としてまず目標にしたいと思うのがこの“実践できる”状態です。
知識もあって、注意点も体得していて、特に教えることなく作業を行ってもらえる状態ですね。
実は、レベル3とレベル4には大きな開きがあります。
教える側としてはまだまだレベル3だなと思っても、教えられる本人はもうレベル4だと思っているギャップが生まれやすい段階でもあるんです。
実践できるようになった仕事に慢心するとミスやケガに繋がってしまいます。
もう一度緊張感をもって取り組むように目を配る段階でもあるんですね。
レベル5:教えられる、改善できる
最もレベルが高くなると、人に教えることができるようになり、そしてその仕事の改善も自分なりに進められるようになります。
実は、「改善できる」というところがポイントです。
作業の本質を理解し、より品質を高め、より速く行う方法を考えられてこそです。
「見て覚えろ!」
とかいって教えることができない人は、もしかしたら本質を理解していないのかもしれませんよ。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
教えると一言で言っても、相手がその状態にいるのかを的確に見極めて、そのレベルに応じた教え方をする必要があり、なおかつ、レベルアップを伴走していく必要があります。
会社にあるマニュアルや手順書、あるいは教育制度は、こうした教えられる側のレベルを考慮した構成になっていますか?
人材育成は企業の根幹です。
今一度見直してみてはいかがでしょうか?
「どんなマニュアルを作ってよいか分からない」
「どんな教育をしていくのが良いか分からない」
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