“マーケティング4.0”
いきなりこんなことを言っても何のことか分からないかもしれませんが、今、世の中はデジタルを活用した“価値”中心のマーケティングをする時代に突入したと、近代マーケティングの父と言われるフィリップ・コトラー教授は提唱しています。
今回の記事で紹介したいのは、こうした権威ある表現が先行するマーケティング業界にあって、それでも製造業は足元をきちんと固めて成長していくべきだということを敢えて紹介させていただきます。
抽象論が多くて掴みにくいマーケティング論をゼロから学ぶのも良いですが、もっと大切なことがあるのではないかと思いますので、事例とともに紹介していきます!
目次
顧客志向って本当に正しい?
お客様の期待に応える!
こういうことは良く言われてはいますが、本当にこの考え方が良いのかどうかを改めて考えてみたいと思います。
確かに、お客様の期待に応えて顧客満足度を向上させていくことは企業の存続や成長には必要です。
各企業は、お客様の期待に応えるための商品・サービスの開発、営業展開を考え、日々努力をしていると思います。
ところが、肝心の商品・サービスを開発する人、提供する人は、自己を犠牲にしてでもお客様の期待に応えるような、なんとなくそうしたことが当然のように考えられてしまうことってありませんか?
極端な例では、電通の新入社員が亡くなってしまった例もありますが、働く人に顧客満足の優先を強制する風潮は良くないと思うわけです。
今以上の行き過ぎた顧客満足追及から一旦頭を離し、ちょっと別の視点から考えてみようということを紹介していきます。
プロフィットチェーンを知ろう!
こちらの図は、サービス・プロフィット・チェーン(SPC)と呼ばれるものです。
顧客満足(CS)だけでなく従業員満足(ES)も組み込まれています。
従業員満足度が向上することでサービス品質も向上し、結果として顧客満足度も向上する。
そして、顧客満足度の向上が企業収益に繋がり、またそれが従業員満足につながる。
こうした好循環があります。
そして出発点は従業員満足(ES)の向上であることも見逃せない点です。
行き過ぎた顧客志向から脱却し、今一度、会社の利益のために働いてくれている従業員に目を向けても良いのではないでしょうか。
プロフィットチェーンの実践例!
さて、私がこのプロフィットチェーンの記事を書こうと思ったのは、日本ツクリダス株式会社 様を訪問したことがきっかけでした。
従業員約20名で金属加工事業を主として営む、いわゆる町工場です。
この町工場事業を中心として、今では生産管理ソフトウェア開発・販売事業、デザイン事業も展開しています。
顧客満足度がものすごく高く、業績もうなぎのぼりのこちらの会社で、従業員満足度を向上させるための環境作りの考え方をいくつか紹介します。
従業員満足その①:職場がおしゃれ
こちらの会社では、最近リフォームをして事務所がかなり今風のおしゃれな内装になりました。
お客様を案内してくれる従業員に対して、お客様は十中八九こう言います。
きれいでおしゃれですね!!
こう言われた従業員は、そんな職場で働けていることに満足感が高まるのです。
そして、採用活動にもものすごい良い影響が出てきたとのことで、人材不足が叫ばれるこのご時世のなか、ほぼ困っていないとのことです。
従業員満足その②:柔軟な勤務体制
事務所で働いている事務作業員の大半は、家事育児が忙しい年代の女性パート社員です。
・休んでヨシ
・早く帰ってヨシ
・遅刻してヨシ
・家でやってヨシ
を前面に出して採用しており、実際にその通りに働いてもらっていました。
私が訪問したときも、午前11:00くらいに事務所を見せていただいたのですが、デスクは6つありましたが、実際にその場にいた女性は2名でした。
もうここ以外で働けない!
これが事務員の方の本音ですので、仕事をしているときには高いパフォーマンスを発揮してくれるのです。
ちなみに、こうした体制で業務が回るだけの、業務の標準化や作業の簡素化などの土台もできあがっていることは忘れてはいけませんね。
https://manahibi.com/prevent-personalization-of-office-work-3508.html
従業員満足その③:作業環境が整っている
こちらの事務所、営業やシステム開発などの担当者も含めて全部で15ほどのデスクが設置されていたのですが、全てのデスクにデュアルモニターが設置してあります。
デュアルモニターは、事務作業の生産性を大きく向上させますが、実はディスプレイ自体はそれほど高額ではありません。
投資対効果が高いんですね。
そして、ハンディーのバーコードリーダーも設置されていて、現場で言うと現品票に相当するバーコードが貼られた紙を中心に業務が運用されていて、手元でバーコードリーダーを読み込むとシステムにすぐに連携するという仕組みが整えられているんです。
デュアルモニターは比較的すぐにでもマネできることだと思いますので、ぜひ導入してみてください。
従業員満足その④:経営の透明性
この事務所には大きなモニターも設置されており、そこではポータルサイト的にあらゆる会社情報が見えるようにセッティングしてあります。
その中には、月次の売上や原価、利益などの経理情報や、利益に応じた現時点の賞与総額までを見ることができます。
パート社員の方ももちろん見ることができます。
年に一回くらいは伝えているという企業も多いと思いますが、こちらの会社は常に経営情報を公開しています。
この会社の経営陣は、隠し事しないしウソつかない!
こういった安心感は従業員満足度をものすごく高めるんですね。
結果として、足を引っ張るような行動はしなくなり、高いパフォーマンスを発揮してくれるんです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
行き過ぎた顧客満足によって、働いてくれている従業員が苦しんだりしていませんか?
もし、従業員に無理をさせてるかなと少しでも思った場合には、投資先の一部を従業員満足に向けてみてはいかがでしょうか?
「自分たちの場合は具体的にどのようにしたらいいの?」
こうしたご相談やその他のご質問も随時受け付けていますので、遠慮なくお問い合わせください。