製造業に限らず、日常の不具合の中で最も多いと言われるヒューマンエラー。
ISO9001(JIS Q 9001)の要求事項に中には、以下のように明確に示されています。
8.5 製造及びサービス提供
8.5.1 製造及びサービス提供の管理
g) ヒューマンエラーを防止するための処置を実施する引用元:JIS Q 9001:2015 品質マネジメントシステムー要求事項 から抜粋
さて、今回の記事では、そんなヒューマンエラーの原因分析に関わる内容と、その是正処置に関わる内容について紹介していきます。
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ヒューマンエラーの原因を“人”のせいにしない
日々発生するヒューマンエラーの原因を「うっかり」とか「あいつはいつもそうだ」という理由だけで、“人”のせいにしていませんか。
人のせいにしてしまって、ヒューマンエラーの対策が「しっかり教育する」というだけならまだしも、「~に気を付ける」「~によく注意する」といったような小学生のような精神論に頼った内容になってしまっている企業も見かけました。
こんな対策を繰り返していても、ヒューマンエラーは全く減りません。
それどころか、現場の作業で気をつけることが増えてしまい、本来もっと気をつけなければいけない安全面の注意が削がれ、労働災害を起こすなどの事態に発展してしまうことさえあります。
ヒューマンエラーは“仕組み”のせいにする
ヒューマンエラーの原因は“人”ではなく、隠れている“仕組み”の不備にあることが多いです。
やり方が悪い、ミスを想定したプロセス設計になっていないなど「真の原因(根本原因)」を掴む必要があります。
言い換えれば、その「根本原因を取り除く対策」をしなければ再発の可能性は相変わらず高いままです。
言わずと知れた「なぜなぜ分析」を活用して人のせいにしないように深堀してみても良いと思います。
ちなみに、この「なぜなぜ分析」も慣れないと“人”のせいになってしまうのでご注意を!
以下に示すのはダメな事例です。
- 取りつけたワークの位置合わせを十分に確認していなかった
- 加工後に検査をしなかった
- 図面の数値を読み間違えた
これでは結局“人”のせいになってしまっていて、真の原因になっていません。
- なぜ〇〇を確認していなかったのか?
- なぜ手順を守っていなかったのか?
このように根本原因を追究するための「なぜ」が必要なんですね。
この「なぜ」が失敗してると、「~を徹底する」「~に十分注意する」といった根性論のものや「結論としての対策ありき」の対策となってしまい、結局意味のない対策になってしまいます。
「原因を取り除く」是正処置を!
先ほどからも挙げているように「~に気を付ける」「~によく注意する」「~を徹底する」という残念なヒューマンエラー対策を見かけることがあります。
「徹底する」という言葉は、「注意する」や「気をつける」と比べるとそれっぽく聞こえます。
ただ、「徹底する」っているのは、何をどの程度やったら「徹底」なのか、全く分かりませんよね。
例えば、
加工する前に穴あけ位置を確認したことを図面にチェックし、加工後に再度別の検査員がチェックすることで流出防止を徹底する
という表現ができて、初めて「徹底する」ことなんだと思うんですね。
他にも、「ルールを徹底する」という対策も同じで、何をどうやってルールを徹底するのかを明確にして、初めて徹底した対策と言えるようになります。
ISO9001の定義では、是正処置は、同様の不具合の再発を防ぐことです。
従って、是正処置という限りは「原因を取り除く対策」である必要がありますよね。
原因を取り除くためには、原因を特定しないとダメです。
そのためにも、しっかり根本原因を突き止めることが非常に重要なのです。
ヒューマンエラーは“人”のせいにしない!
ぜひ実行してみてください!
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