製造業の現場に限らず、多くの不具合の原因として挙げられるヒューマンエラー。
実際にヒューマンエラーが発生した際には、当事者から状況を聞いたりどんなミスをしたのかをヒヤリングしていると思います。
今回は、ヒューマンエラーが発生した際の真の原因分析の方法やヒアリングの方法について、大切な3つのポイントを紹介します。
ヒューマンエラー分析の3つのポイント
ヒューマンエラーの調査において重要なポイントは以下の3点です。
- 責任を追及しない
- 上司が直接ヒヤリングしない
- 現場でヒヤリングする
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
ポイント①:責任を追及しない
真っ先にこれだけは肝に銘じておきましょう。
「ヒアリングは、ヒューマンエラーの真の原因を分析するために行うものであって、当事者の責任を追及するためのものではない」
この前提に立っていない現場も残念ながら存在しますが、やはりそういった企業はなかなかヒューマンエラーがなくなっていません。
というより、似たようなヒューマンエラーを繰り返してしまっています。
ヒューマンエラーの多くは、「仕組みの不備」や「管理方法」、「作業環境」、「状況」など、当事者の問題ではない「外部的要因」であることが多いです。
そのため、「当事者個人の責任」「本人の能力の問題」など人のせいにして片付けてはならないのです。
(当事者が故意で行う場合は除きます)
根本的な原因になっている「外部的要因」を掴み、再発を防止するため要因を取り除くための対策を講じるためには、当事者の方に、そのときの作業方法や、他に抱えていた仕事、どんな心理状態だったかなど、ミスをしてしまった状況をありのままにお話ししていただく必要があります。
そのために、責任を追及する空気感を出すことはやってはならないことなのです。
上司はヒヤリングしない
さて、責任を追及する空気感を出さないために、当事者の上司が直接ヒヤリングしないという方法が有効です。
例えば、そのヒューマンエラーの事象や現場の作業を把握している第三者である別の担当者がヒアリングを行うと良いです。
全く分からない人では、当事者の共感が得られにくく、状況のすべてをお話ししていただけない可能性もありますので、あくまで状況が理解できる方が良いですね。
くれぐれも、当事者の方に対しては、
「責任を追及しているのではなく、他の人も起こしうる同じミスを防ぐためにご協力いただく」
ということを理解していただくようにしましょう。
何度も言うようですが、責めるような発言は絶対にNGです!
当事者の方を萎縮させたりすると、そのときの状況のありのままを話していただけず、真の原因に繋がる必要な情報を得ることができなくなってしまいます。
現場で行う
さて、よくあるのは、事務所に当事者を呼んでヒヤリングする、または会議室などのミーティングスペースでヒアリングするということです。
落ち着いて話すことも大切なんですが、ヒューマンエラーが発生した現場で実施することも大切なポイントとして挙げられます。
実際の現場には、作業場に置いてあるモノの配置など、話しただけでは分からないヒューマンエラーの要因がある場合もあります。
そういった些細なことに感じているポイントを見つめるためにも、実際の現場でそのときの状況を詳細にヒアリングすることが大切です。
交通事故等の際にも、警察官は“現場検証”をしますよね(笑)
また、刑事の中では有名な言葉「現場百篇」も、現場にいるからこそ気が付くことやそのときの心理状態などがあるんです。
製造業で言えば、「三現主義(現場・現物・現実)」でしょうか。
ヒューマンエラーの原因分析の際にも、現場の感覚は大切にしましょう。
おわりに
これまで製造業の現場に関わらせていただく中で、間違いなく言えることがあります。
ヒューマンエラーを人のせいにして片付ける現場は、作業者(従業員)の緊張感が常に高く、かといって似たようなミスを繰り返し、従業員満足度が低く、離職率も高く、どこか暗い。
どうせ働くなら、現場には明るく働いてもらいたいですし、せっかく作業を覚えた従業員には辞めてもらいたくないですし、尚且つミスも少ないなど品質も高く、お客さまにも信頼される職場にしたいと思うのは当然かと思います。
そのためにも、ヒューマンエラーに対する適切な対処として、原因分析の際のヒヤリングの場作りにはまず最初に気を使いたいものです。