ISO9001とは、、、
ISO9001を教えるにあたって、私がどんな風に教えているのか、文字に起こしてみようと思い立ち、他の一般大衆向けの書籍にはない、『日本一わかりやすい“しゃべり口調”解説』をコンセプトに記事を書いています。
YouTubeにてISO9001の事例紹介もしておりますのでぜひご確認下さい。
さらに気になる方は下記のリンクからご覧になってください。
マガジンは有料ですが、無料部分だけでも参考になると思います。
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日本一わかりやすい“しゃべり口調”ISO9001解説シリーズ
さて、この記事では、なぜそんなことをしようと考えたのか、私がISO9001を教えながら感じていることをまとめてみました。
下記の関連ページと合わせてご覧ください。
>>分かりやすい簡単なISO9001活用術~分かりにくさと3つの運用ポイント~
目次
ISO9001を教えていて思うこと
ISO9001とは品質マネジメントシステムに関する世界標準で、特に製造業に関与されている方であればなじみの名前ではあると思います。
私は、製造業の現場向けのコンサルティングをする中で、QMS審査員補(ISO9001審査員資格)を取得しているため、ISO9001に関する現場メンバーへの教育をお願いされることもあります。
ちなみに、審査員とコンサルティングは公平性の観点から両立が原則禁止とされているため、私は外部の認証機関として審査したことは一度もなく、審査できる知識を生かしながら、各現場に合った例え話を交えて、より身近に感じてもらえるような教育をしています。
これまで何社かの教育を実施してきた中で、いくつか共通点として思うことがありましたので、その点についてつらつらと書いてみます。
JIS Q 9001の文章が難しい!
このJIS Q 9001というのは、ISO9001の要求事項を和訳したものです。まぁISO9001が世界標準なので、英語で書かれているわけですね。それを、日本の有識者たちが和訳したものがJIS規格としてのJIS Q 9001と思っていただければ良いです。
ちなみに、このJIS Q 9001は、規格文書なのに著作権があります。英語の原文は標準として公開されているけど、和訳文は規格協会に著作権がある、という考え方のようです。取り扱いには注意してくださいね。
さて、このJIS Q 9001ですが、言っちゃ悪いですがかなり分かりにくいんです。
例えばこんな感じです。
4 組織の状況
4.1 組織及びその状況の理解
組織は,組織の目的及び戦略的な方向性に関連し,かつ,その品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える,外部及び内部の課題を明確にしなければならない。
組織は,これらの外部及び内部の課題に関する情報を監視し,レビューしなければならない。
注記 1 課題には,検討の対象となる,好ましい要因又は状態,及び好ましくない要因又は状態が含まれ得る。
注記 2 外部の状況の理解は,国際,国内,地方又は地域を問わず,法令,技術,競争,市場,文化,社会及び経済の環境から生じる課題を検討することによって容易になり得る。注記 3 内部の状況の理解は,組織の価値観,文化,知識及びパフォーマンスに関する課題を検討することによって容易になり得る。
引用:JIS Q 9001:2015
初めて読む人は、
「なんのこっちゃ???」
ってなるはずです。
「ISOってなんだろな?」
って思って本屋さんで本を探していたときに、ふと見た本にこんな文章が書かれていたら、
「うわっ!ヤダ!」(そっと閉じる)
ってなる気持ち、すごくよく分かります(笑)
そう、拒否反応が出るんですね。これがISOを現場から遠ざける原因の一つになっているのは否めないと思います。
現に私がこれまで教えてきたお客さまも、ひじょーに読みにくいということで嫌いになってしまう人もいました。
単語が難しい & 抽象的!
ISOは世界標準なので、あらゆる場面において適用できるように、かなり抽象度の高い表現になっています。
そのため、使用されている言葉は普段使う言葉とはかけ離れていると同時に、掴みにくい文章となっているんです。
こちらの文章を見てみましょう。
組織は,組織の目的及び戦略的な方向性に関連し,かつ,その品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える,外部及び内部の課題を明確にしなければならない。
引用:JIS Q 9001:2015
先ほどの箇条の第一文ですが、まぁツッコミどころ満載です。
「『組織の目的および戦略的な方向性』ってどういうこと?」
「『品質マネジメントシステムの意図した結果』ってなんやねん?」
「『品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える』ってどういうこと?」
「『外部及び内部の課題』って例えばどういうこと?」
のように、このたった一文でもよ~く考えなければ分からないことばっかりなんです。
たとえよ~く考えたとしても、
「単語の意味がよく分からん!」
っていう場合の方が多いかもしれません(苦笑)
こんな文章が箇条の4~10まで書かれているわけですね。
そりゃあイヤになりますよね。。
自分たちでいうと具体的にどういうこと?
難しいことばっかり書かれているので、具体的な場面が思い浮かばず、何をしなければならないかが分からないんですね。
先ほどの一文。
組織は,組織の目的及び戦略的な方向性に関連し,かつ,その品質マネジメントシステムの意図した結果を達成する組織の能力に影響を与える,外部及び内部の課題を明確にしなければならない。
引用:JIS Q 9001:2015
「つまり自分は何したらいいの?」
ってことです(笑)
私がお話しする言葉をそのまま書きますね。
「会社の掲げてる理念とかミッションとかあるでしょ。
御社で言うと、『利益は結果であって目的でない』とか『最高品質の追求』とか。
あとは、なんでISO入れたの?って目的があったはずでしょ。
『顧客満足の向上』とか。
もしかしたら取引先の圧力とかレッテルが欲しいとかかもしれないけど(笑)そういったものを実現するためには、会社にはヒトとかの能力が必要じゃないですか。
そんな会社のヒトとかの能力に影響を与える外部的な課題、例えば、少子高齢化とか、人口減による市場の縮小とか、御社の場合だと、電気自動車へのシフトによるガソリン車部品の需要縮小とかもあるかもしれませんね?内部的な課題っていうのは、その外部的な課題と関連してる、例えば工業系の若手人材不足とか、既存事業の生産規模の縮小とか、生産性向上のIT活用技能不足とか、そういう課題を会社の中ではっきり決めておいてちょうだいねってことです。」
というような解説をします。
これが一番の壁とも言えるところです。抽象度の高い文章を読んで、それを咀嚼し、自らの場面に置き換えて解釈ができる人でないと、ISOを理解して運用することはできないようになっているんです。
まぁなんとも不親切。。
世に出回っている解説書も難しい!
実は、私はこれを一番憂いています。
世の中、「ISO9001とは、、、」という解説書がたくさん出回っています。
JIS Q 9001の文章が分かりにくいことをみんな知っているからこそ出版される解説書なんですが、この解説書もまた分かりにくいものばかりなんです。
致命的なのは、使われている単語が相変わらず分かりにくく、万人が分かるように抽象的に書かれていて、そのせいで具体的な場面やどのように行動を起こして良いかが分からないこと。
つまり、よく分からない文章を、よく分からない文章に書き替えているだけなんですね。
これが残念で仕方ない。
確かに本なのでたくさんの人に売れなければいけませんから、対象とする業界とかを限定してしまうとそれだけターゲット市場が狭くなるわけですね。そのせいで解説文も抽象的になってしまう。
この流れは、JIS Q 9001を元にして作成する各企業の品質マニュアルにも似たようなことが言えます。
大元のJIS Q 9001の文章の解釈が中途半端なせいで、本当は自分たちの言葉で書き換えていい、むしろ自分たちが運用できるように書き換えなければならない品質マニュアルも、よくわからない文章になってしまっているという悲しい現実があります。
なら自分が簡単に書こうかな?
というわけで、このnoteであればターゲット市場云々はあまり気にしなくても良いですし、先ほどの私の解説のように特定の業界をイメージした口語的な解説文を書いてみようかなと思った次第です。
世の中に、ISOの解釈で困る人がいなくなるように、そして、ISOの意味が分かってそれをうまく活用し、効率的に品質の維持向上や顧客満足度向上を実現できる自律的な組織が増え、日本の足元を支える中小製造業が元気になればいいなぁなんて考えているわけです。
私の“口語調”解説は、noteを使って、一つの有料マガジンの中に箇条別の記事を納めています。
無料にしてしまうと、それほど読む気がない人の手にも渡ってしまうことになり、本意ではありません。
私の思いをご理解いただけて、共感していただける方にお読みいただきたいものにしたいと考えています。
下記がマガジンのリンクになります。無料部分だけでもかなり分かりやすく書いていますので、ぜひ読んでみてください!
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日本一わかりやすい“しゃべり口調”ISO9001解説シリーズ
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