製造業におけるはじめての展示会活用法

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製造業におけるはじめての展示会活用法

製造業の展示会

この記事では、製造業を営む事業者の方、特に中小企業の製造業の企業が初めて展示会に出展する際に役立つ情報をお届けする内容となっています。

特に中小企業では、営業活動の人的工数を確保することも難しく、実質的に社長のトップセールスに依存してしまっていたり、商社に頼りきりになってしまっていたりすることも多くあります。

しかしながら、直接取引が可能な取引先を増やしていくことは今後も多様化し進化し続ける世の中では必須の経営課題と言え、その課題解決方法の一つに展示会の活用があると考えています。

ご参考になさってください。

1. 展示会の役割と期待される効果

展示会の効果

製造業界では、展示会が非常に重要な役割を果たしています。では、なぜでしょうか?簡単に言えば、展示会は自社の製品やサービスを直接、大勢の潜在的な顧客やパートナーに紹介できる貴重な機会なのです。製造業は“目に見えるもの”をつくる産業ですので、実際に手に取ってもらい目で見てもらい体感してもらうことでお客様に価値を知っていただくことができます。そんな製造業は、販路開拓において展示会を活用しない手はないのです。さて、ここで展示会の役割と効果を整理してみます。

製品の展示とデモンストレーション

展示会は、製造業者が自社の製品を直接展示し、その特長や利点をアピールできる場所です。リアルタイムでの直接的なデモンストレーションを通じて、製品の実力を証明する絶好のチャンスとなります。

市場調査

展示会は、他社の製品や最新の業界トレンドを知る絶好の機会でもあります。競合他社の動向を把握し、自社の製品開発やマーケティング戦略を練り直すための貴重な情報を得ることができます。実は、展示会に出展したことがない企業の多くはこの視点が抜けてしまっています。訪れた顧客から得られる情報も含めて、出展した事業者にしか得られない市場の動向があるのです。

ネットワーキング

展示会は、業界の同僚や潜在的な事業パートナーとのネットワークを広げる場所です。名刺交換やカジュアルな会話を通じて、製品改良や新商品のアイデアにつながったり、時には自社の強みに改めて気が付いたり、新しい事業の機会を探ることができます。

ブランド認知度の向上

展示会に参加することで、自社のブランドを業界内外に広く知らしめることができます。特に新しい企業や製品にとっては、市場に名を広める絶好の機会となります。「展示会にも出展している」というだけで企業PRを積極的に実施しており、なおかつ「変なことはしていない」という信頼にもつながります。

製造業における展示会は、単に製品を展示する場以上のものです。それは、新しい事業チャンスを創出し、業界内での位置を確立するための重要なステップなのです。初心者の皆さんも、この機会を最大限に活用して、事業の可能性を広げましょう。

2. 展示会の見学:最初のステップ

展示会の準備

製造業で初めて展示会に出展を考えている方にとって、何をどのように出展しようか、どの展示会に出展しようか、というお悩みはあろうかと思います。

そうしたお悩みを解決するには、やはり実際に複数の展示会に足を運び、自身で顧客としての体験をしてみるしかありません。実際の展示会の見学は単なる下見以上の重要なステップです。この見学を通じて、市場の動向を肌で感じ取り、競合他社の製品や最新トレンドを直接観察することができます。他社のブースを見ることで、展示方法やブースデザインのアイデアを収集し、自社の出展計画に反映させることができます。「この置き方いいな」だとか「このキャッチコピーかっこいいな」というように、自身が出展するならどうしようかを念頭に見学することが重要です。

また、気になるブースへの来訪者がどの製品にどのように反応しているかを観察することで、市場のニーズや興味の傾向を把握する手がかりを得られます。競合になりそうな企業のブースはそのような視点で観察してみると良いでしょう。

展示会では、業界の人々とのネットワーキングの機会も豊富にあります。出展者や来訪者との会話から業界の深い知識を学び、貴重なコンタクトを築くことが可能です。現に、例年出展している企業同士は仲が良かったりして情報交換も活発に行われていたりします。他の出展者に直接質問することで、自社の製品やサービスに対する外部からのフィードバックを得ることもできるのです。

このように展示会の見学は、単に他社のブースを見るだけではなく、市場を理解し、自社の展示計画を練るための貴重な学びの場となります。初めての展示会出展を考えている方々には、ぜひ展示会を見学し、これらのポイントに注意を払いながら、有意義な情報を収集していただきたいと思います。

3. 目的とターゲットの設定

ターゲット選定

展示会における成功のポイントは、明確な目的とターゲットの設定にあります。製造業の企業が展示会で成果を上げるためには、自社の製品やサービスを誰に、どのようにアピールするかを事前にしっかりと決めておくことが不可欠です。

まず、自社の製品やサービスの主要な特長を洗い出しましょう。それらが解決する問題や提供する価値は何か、顧客にとってのメリットはどこにあるのかを理解することが大切です。こうしたことは普段は意識することがないものですので、弊社のような第三者の方と意見交換をしてみると良いと思います。

次に、これらの特長やメリットが最も響くであろうターゲット市場を特定します。これは、製品の用途、機能、価格帯などを考慮して決定されます。例えば、精密で高度な技術を要する加工技術であれば、産業用設備を製造するような技術に精通した事業顧客をターゲットにすることが適しているでしょうし、取り扱いの簡易性や外観デザインなどが特徴であれば一般消費者をターゲットにすることが適しているかもしれません。昨今の例として、金属加工をされている会社がキャンプ用品を出展している事例がありますが、贈り物としての需要を見込んでギフトショーに出展する企業もあれば、ダイレクトにキャンプ用品展に出展する企業もあり、目的に応じて出展の方法は変わってきます。

ターゲット市場を特定したら、その市場のニーズや関心事を理解するためのリサーチを行います。顧客がどのような問題に直面しているか、どのような解決策を求めているかなどを把握することで、展示会でのアプローチ方法を考えることができます。さらに、競合他社との差別化ポイントを明確にすることも重要です。これにより、展示会での自社ブースが他社とどう違うのか、来訪者に対して明確に伝えることが可能になり、そのポイントこそがキャッチコピーにもなってきます。

展示会での目的を設定する際には、製品やサービスの紹介だけでなく、ブランド認知度の向上、業界内でのネットワーキング、新しい事業チャンスの創出など、多角的な視点を持つことが重要です。これらの目的が明確であればあるほど、展示会での活動をより効果的に計画し、実行することができます。しかしながら、はじめての展示会出展ではそこまで網羅的に考えながら出展する余力はないと思われます。ここでは、一旦知識として知っておくだけで良いですが、「ターゲットの設定は重要」という意識だけは覚えておいてください。

なぜなら、最終的に、展示会での目的とターゲットが明確になれば、それに基づいてブースのデザイン、展示内容、プレゼンテーションの方法などを策定することができるためで、ターゲットが明確にならなければちぐはぐな出展になってしまうからです。

そこだけは十分に意識しておきましょう。

4. 来訪者へのアプローチ方法

アプローチ

初めて展示会に出展する際、来訪者との接し方は成功の重要なポイントです。展示会は、新しい顧客を獲得し、事業チャンスを掴むための絶好の機会ですので、来訪者へのアプローチ方法には特に注意が必要です。

ここでお伝えするアプローチ方法とは、来訪者を歓迎する姿勢であるとか、暖かくフレンドリーな挨拶をしましょうとか、笑顔とオープンな態度で接しましょうとかの接客テクニックではありません。

「当日にお会いした方に対して、後日どのようにフォローアップするか」ということです。

展示会で出展したからといって、その場で商談になる可能性は低いですし、ましてや成約に至る確率は限りなくゼロに近いです。従って、展示会後には、名刺交換した来訪者に対してフォローアップのDM等を行い、関係を深めていく、認知を定着させていくことが必要になります。

そこから逆算し、当日に効果的なコミュニケーション技術を用いることを考えます。来訪者の質問には、明確かつ具体的に答えることが大切ですし、来訪者がどのような背景や関心を持っているかを理解し、それに応じた情報を提供することも重要です。例えば、技術的な知識を持った来訪者には、製品の技術的な詳細を、一般の来訪者には製品の使いやすさや実用性に焦点を当てた説明が効果的となるでしょう。

特に、デモンストレーションは来訪者の関心を引く有力な手段です。製品の実際の使用方法を見せることで、その価値をより具体的に伝えることができます。また、インタラクティブな体験を提供することで、来訪者の記憶に深く印象づけることができます。

名刺交換も重要なポイントです。来訪者と名刺を交換する際には、その人の名前や役職を確認し、来訪者の目的や権限の範囲なども含めて対話することが重要となってきます。

見込み顧客なのか、商社なのか、競合なのかで話し方は変わりますし、一般担当者なのか社長なのかでも話し方が変わりますよね。

押し売りが厳禁なのは言うまでもありません。来訪者の興味やニーズに合わせた情報提供を心掛けましょう。

さらに、来訪者からのフィードバックを積極的に求めましょう。これは、製品やサービスを改善するための貴重な情報源となります。また、来訪者の意見や感想を聞くことで、ニーズをお持ちの方々との関係をさらに強化することができます。

初めての展示会出展では、来訪者へのアプローチ方法が成功に大きく影響します。これらのポイントを念頭に置き、効果的なコミュニケーションと関係構築に努めることが、長期的な事業成功への道を開くことでしょう。

5. ブース設計の基本

ブース設計

展示会におけるブース設計は、来訪者に対する企業の第一印象を決定づける重要な要素です。初心者であっても、いくつかの基本的なポイントを押さえておけば、効果的で魅力的なブースを設計することが可能ですので、この記事では専門性の高い部分については触れず、初めての方でも意識しておくと良いポイントを紹介します。

シンプルさと明快さ

良いブースデザインの基本は、シンプルさと明快さにあります。複雑すぎるデザインは来訪者を混乱させ、本来伝えたいメッセージが伝わらなくなることがあります。ブースの主要な目的を明確にし、その目的に沿ったデザインを心掛けましょう。例えば、製品を強調したいのか、デモンストレーションを強調したいのか、製品の豊富さを強調したいのか、など、コンセプトにあった配置や照明にすることが重要です。

視覚的アトラクション

来訪者の注意を引くためには、視覚的なアトラクションが有効です。鮮やかな色使い、ユニークな形状、動画やデジタルディスプレイの使用など、コンセプトに合いなおかつ目を引く要素を取り入れると良いでしょう。ただし、過度な装飾は避けてください。逆に目立たせたいものが目立たなくなりますので。ブランドイメージや製品の特性に合ったデザインを選ぶようにしましょう。

インタラクティブな要素

ブースにインタラクティブな要素を取り入れることで、来訪者の関心をより深く引きつけることができます。例えば、製品の試用コーナーや、VRを使った体験エリアなどのデモンストレーションが考えられます。来訪者が実際に製品を手に取り、体験することで、製品への理解と興味を深めることができます。

クリアなメッセージ

ブースには、企業や製品のキーメッセージを分かりやすくズバッと伝えることが必要です。スローガンやキャッチコピーを効果的に配置し、来訪者に企業の特長や製品の強みを素早く理解してもらうようにします。さらに、このキーメッセージは、ブースのデザイン全体と調和している必要があります。そのためにも、「何を展示するのか」が重要になってくるのです。そうしたコンセプトの一貫性も意識しましょう。

効果的なレイアウト

ブース内のレイアウトは、来訪者の動線を考慮して計画することが大切です。来訪者が自然に製品や展示物に導かれるようにし、なおかつ混雑を避けるためのスペースを確保します。思っている以上に空間的なゆとりは必要だとお考え下さい。製品の展示方法やデモンストレーションエリアの配置も、来訪者が快適に過ごせるよう考慮する必要があります。

ブース設計は、企業のイメージや製品の特性を最大限に生かすための舞台です。初心者でもこれらの基本的なポイントに注意をすることで、効果的で魅力的なブースを作り出すことができます。

そして、展示会での成功のためには、ブース設計に時間と工夫を惜しまないことが肝心です。場合によっては、ブース設計や事前の設営を支援する事業者に委託することも有力な選択肢になります。

特に初めての出展では、一度専門家にお任せしてノウハウを知る方が良いと考えていますので、ぜひそちらもご検討ください。

6. 効果的な名刺交換

名刺交換

展示会において名刺交換は、単に連絡先を交換する以上の意味を持ち、新しい事業チャンスを広げる重要な手段です。名刺交換の瞬間は、自社や製品について簡潔に伝える絶好の機会です。相手の名刺に記載されている情報を基に、共通の話題を見つけることで、会話をより深めることができます。また、相手が話しているときはしっかりと聞き、まずはこちらがお客様に関心を示すことが大切です。質問を投げかけることで相手の興味を探り、適切な反応や質問で会話を進めていくことで、結果的にお客様の困りごと、すなわちニーズを引き出すことができます。

出展者側の商品の説明なんて後回しです。来訪者は、キャッチコピーや展示しているものを見て、それが何なのかはなんとなく知っていて名刺交換をするわけですから、余計な話はお客様を遠ざけてしまいます。

名刺交換後のフォローアップも重要なステップです。むしろそのフォローアップをするために展示会に出展すると言っても過言ではありません。交換した名刺には、その人との会話内容や特徴をメモしておき、展示会後にフォローアップのDMや電話で関係を深める準備をすると良いです。

7. フォローアップの重要性

フォローアップ

展示会の成功は、その後のフォローアップに大きく依存しています。どのようなフォローアップをするかを事前に考えておくのはそのためで、展示会での出会いや交渉は、フォローアップを通じて初めて実を結ぶものだからです。

展示会での会話は、忙しい中での短い限られた会話に過ぎません。その場で商談になり成約するなんてことはほぼありません(重要なので繰り返します)。しかし、その後のフォローアップによって、初めて深い関係が築かれ、事業へと発展する可能性が高まります。例えば、展示会で交換した名刺に基づいて、展示会の数日後にメールや電話で連絡を取ることは、関係を強化し、記憶に新しさを保つための効果的な方法です。この時、特定の話題や共通の関心事を再度取り上げることで、より個人的な関係を構築することができます。

また、フォローアップは、製品やサービスへの関心を深めるチャンスでもあります。展示会での簡単なデモンストレーションや会話では伝えきれなかった詳細情報を提供することで、製品やサービスへの理解を深めてもらうことが可能です。ホームページのURLを記載したメールを送るなども良い方法でしょう。さらに、顧客のニーズに合わせたカスタマイズされた提案をすることも、フォローアップの有効な手段です。

フォローアップを行う際には、相手に感謝の意を表明し、展示会での出会いを価値あるものとして扱うことが重要です。これにより、相手は自身が大切にされていると感じ、より強い信頼関係が築かれます。また、フォローアップは一度きりにせず、定期的なコミュニケーションを維持することで、長期的な事業関係へと発展させることができます。そのため、名刺交換時にはメルマガ配信の許可も確認しておくと良いでしょう。

展示会後のフォローアップは、単なる礼儀以上のもので、事業の機会を最大限に活かし、持続的な関係を築くための重要なプロセスです。このフォローアップがなければ展示会に出展した意味がなくなってしまうくらいに重要です。展示会での出会いを次のステージへと進めるために、効果的なフォローアップを心がけましょう。

まとめ

展示会の出展は、慣れないと少し及び腰になってしまう作業だと思います。しかしながら、最初は誰でも初心者ですし、やってみないと分からないことや得られない情報がたくさんあります。

もし、社長のトップセールスや限られたルートからの紹介に依存した営業体制を脱却したい、売り手の交渉力を強く持ちたい、とお考えであれば、販路開拓においては乗り越えなければならない壁だと思います。

勇気をもって一歩を踏み出しましょう!

弊社はもちろん商品戦略や経営戦略を支援しますし、パートナー企業にもブース設計や設営を支援する事業者や、コンセプトやキャッチコピーなどの決定を支援するデザインやブランディングの支援者など、一貫してご相談に乗ることができます。

ぜひご相談いただき、一緒に新たなフェーズに進んでいきましょう!

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著者

大原 健佑

出身:長野県長野市 最終学歴:東北大学 工学部 金属工学科 卒
保有資格:中小企業診断士・QMS審査員補/2015 (JRCA登録番号:A22594)(ISO9001審査員資格) ・QC(品質管理)検定1級 ・フォークリフト ・床上操作式クレーン ・玉掛け

ものづくり企業の生産性向上と人財育成を促進する専門家。
「現場が自ら動く!」「現場に任せる!」「業務改善を圧倒的に加速させる!」「技術開発を確実に進める!」をベースに、各ものづくり企業の業務改善プロジェクトに参画し、プロデュースを行っている。