生産性向上のために経営者がすべき5つのこと~現場を“自働化”する~

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生産性向上のために経営者がすべき5つのこと~現場を“自働化”する~

5つ

はじめに~生産性向上の実態~

叫ばれて久しい「働き方改革」。企業においては、「労働生産性向上」と言い換えても良いかもしれません。

ところが、大企業から小規模企業まで、どこもかしこも

「生産性が上がっている実感がない!」

というのが本音なのではないでしょうか?

私がこれまでお客様と接してきた中では、いくつか理由がある中でも、“現場が自律していない” ということが大きな理由であると考えています。

つまり、

・現場が自発的に生産性向上に取り組まない
・経営者が具体的に指示しないと進まない

という状態にあり、経営者がいつまでも現場から離れられないのと同時に、現場が受け身の状態から抜け出せず、お互いに生産性が低い状態にあると言えます。

今回は、そんな現場を抜け出し、企業・組織の生産性を向上させるために必要な “現場の自働化” を実現するために、経営者が行っていくべきことを紹介していきます。

生産性向上のために経営者がやるべき5つのステップ

それでは、順番に見ていきましょう。

Step1 現場の問題を知る(事件は現場で起こっている)

問題

現場を自働化させるとはいえ、何はなくともまずは現場の問題に目を向けてください。

決して目を背けないでください。

いや、むしろ、経営者という立場だからこそ、客観的に、そして俯瞰的に現場を見てください。

「そんなの当たり前だ!」
「そんなもん知ってるわ!」

なんていう声が聞こえてきそうですが、それは果たして本当でしょうか?以下のチェックポイントを確かめてください。

・現場のメンバーの“生”の声か
・他の役員や管理者に聞いても同じことを言うか
・誰かに忖度された内容ではないか
・現場は何かを隠そうとしていないか

経営者が一人で一生懸命問題をリストアップしたところで、それは所詮一人の視点からしか見えていないんです。別の人に問題点を聞いた時、

「そんなことあるの?」

という言葉をこれまで何度も聞いてきました。

果たして、こういうことがないと言い切れるでしょうか?

今一度、改めて、自らの組織が抱える問題を先入観なく見つめてみましょう。

Step2 自らの立ち位置を知る(経営分析)

立ち位置

ここでいう“自ら”とは、“自らの会社・組織” という意味です。

この会社・組織は、いったいどんな状態で、どんなところにいるんだろう?それを明確にしていきます。

少し難しい話をすると、SWOT分析とPEST分析を始めとしたいわゆる【経営環境分析】を行います。

当たり前のように実施している企業もあるでしょうが、やっていない企業も多いはずで、その理由は、

・難しそう
・良くわからない
・めんどくさい

などの理由で手を付けていない企業がほとんどです。

たしかに、製造業を始めとした中小企業は、現場経験者がそのまま経営層になるパターンが多く、現場では一切使用しなかった経営的な分析となると、別世界の専門用語だったり考え方にシフトする必要があり、とっつきにくいことは理解できます。

ところが、現場を統括していく管理職と、会社を経営していく経営者では、明確に役割が違います。まずはそのことを認識し、一度きちんと分析してみてください。

まとまった時間としては、まずは2時間くらいで良いでしょう。分析の内容の理解も含めて、やってみるべきだと考えます。

SWOT分析, PEST分析, 5Force分析については、有名な分析手法ですので、調べればたくさん出てきます。知らない方はぜひ調べてみるところから始めてください。

Step3 ゴールを決める

ゴール

ここで言う“ゴール”とは、企業として “目指すところ” のことです。

良くある例
・5年後、売上高○○円
・3年後、営業利益率○○%
・10年後、市場シェア○○%

などですね。

ポイントは2点。

・時間的なゴールを決める
・生産性を示す指標を数値で表す

ということです。

意外にもきちんとできていないところが多いなと思うんですが、ありがちなのは、

・時間的なゴールが明確じゃない
・指標が良くわからない

この2パターンです。

例えば、これはダメな例ですが、

・売り上げを上げたい!
・利益をもっと大きくしたい!
・社員をもっと多くしたい!

なんていう抽象的な思いだけを掲げているところなんかもありますが、これでは現場は具体的に何をしたら良いのか分かりませんね(苦笑)

Step4 ゴールまでの道のりを決める(それが経営)

ステップ

さて、ゴールを決めるところまで来たら、そこにたどり着くための道のりを設計します。

空を飛んで一気に!

なんていきませんよね(苦笑)

例えば、5年後を目標にしていたとしたら、3年後にはどうなっているか、1年後にはどうなっているか、といったマイルストーン(通過点)を設定すると同時に、そのために何をするか、という具体的実行計画を決めていきます。

実は、ゴールまで設定できる経営者は比較的多いのですが、このゴールまでの道のり(ロードマップ)を自らで設計できる経営者が非常に少ないんです。

具体策がまるでない、あるいは、経営者の頭の中にはイメージはあるのかもしれないけど、それが “見える化” されていない状態、であることがほとんどです。

ここが具体的に描けないことは、実は致命的なんです。

なぜなら、この具体的な実行施策こそが、現場の行動指針になるからなんです。

言い換えると、このステップがないと、現場が何をして良いのかわからない、ということになり、良くある現象の “【経営】と【現場】の乖離” は、これが抜けているということがほとんどだったりします。

ゴールにたどり着く道(道なき道)を描く

経営者の重要な役割なのです。

Step5 従業員に“伝える”(経営者の役割)

伝える

実は、今回の記事を書くにあたり、最も私が訴えたかった項目でもあります。

この“伝える”ということ、“伝わる”ことが大事であると認識してください。

経営者は、自らが現場の問題解決から経営まで、全部をやるわけにはいきませんよね。そんなとき、人を動かす必要があるんです。じゃあ人を動かすときにどうするか。

それは、夢や思いを乗せ、それを具体的な実行施策として示し、現場を“腹落ち”させなくてはいけません。

良く聞くのが、

「やってる“つもり”」

というご意見。

一方で、従業員に聞くと、

「ん~、言っているとは思うけど、、、」
「確かにけっこう言ってる。」
「そんなニュアンスだったかなぁ?」

のようなあいまいな記憶だけ、なんていう寂しい現場。。。

なぜこうなってしまうのか。

それには唯一にして重要な問題があります。

経営者が “伝える” 訓練や工夫をしなさすぎ!

これに尽きます。

例えば、プレゼンが上手で有名だったアップルの元CEOスティーブ・ジョブズ。彼は、プレゼンの練習を、本番の何倍もの時間をかけて行っていたといいます。また、彼に限らず、一見、天性の才能でプレゼンしているように見えるビジネスパーソンでも、本番の裏ではもれなくその何倍もの努力をしています。

翻って、一国一城の主でもある経営者は、従業員に自らの夢や思いを伝えるための訓練はしているのでしょうか?何度も試し、振り返っては内容や表現を修正し、言葉や表現を鋭く磨いていくことによって、ようやく現場に “ササる” プレゼンになるはずなんです。

一生懸命分析をして計画を立てても、それを実行する従業員に伝わらなければ意味がありませんよね。しかも、ここだけは経営者自らが役割を担わなければなりません。替えが利かない部分なのです。

自分でも言葉として発すると気が付くこともあります。また、一度側近に聞いてもらい、フィードバックをもらうなどして、従業員に伝える表現を磨く努力をしていきましょう!

さいごに~生産性向上とは現場の“自働化”~

さて、ここまでのプロセスを経た方は、きちんと従業員の“腹落ち”が得られていることでしょう。

そうすると、現場が自発的に、自主的に、自律的に、現場のオペレーションをしていってくれるはずです。

なぜなら、目的や目標、自らの役割や他のメンバーの役割、全てを共有認識として、モチベーションが高い状態にあるからです。

この状態を、私は【現場の“自働化”】と呼ぶことにしています。

ぜひ、これを読んでいただいている方も、現場の“自働化”を目指して実行してみてください。

経営者でない方も、自分の部、自分の課、自分の係、自分のグループ、いろんなところで試すことができます。

ぜひ、やってみてください。

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著者

大原 健佑

出身:長野県長野市 最終学歴:東北大学 工学部 金属工学科 卒
保有資格:中小企業診断士・QMS審査員補/2015 (JRCA登録番号:A22594)(ISO9001審査員資格) ・QC(品質管理)検定1級 ・フォークリフト ・床上操作式クレーン ・玉掛け

ものづくり企業の生産性向上と人財育成を促進する専門家。
「現場が自ら動く!」「現場に任せる!」「業務改善を圧倒的に加速させる!」「技術開発を確実に進める!」をベースに、各ものづくり企業の業務改善プロジェクトに参画し、プロデュースを行っている。