プロジェクトマネジメント研修【実施記録】

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プロジェクトマネジメント研修【実施記録】

ビジョン

これをお読みの方は、“プロジェクトマネジメント”をご存じでしょうか?

恥ずかしながら、私は製造業に勤務していた10年間でこの言葉には一切触れたことはなかったし、その後、なんちゃって製造業コンサルを始めて数年の間は全く知りませんでした。私もプロジェクトマネジメントの資格を有しているわけでもありませんし、まだまだ学ぶことはたくさんあると自覚しています。

とはいえ、そんな“プロジェクトマネジメント”(以後、PM)について、私がこれまでに学んできたことだけでも、製造業でも活用するべき考え方たくさんあります。今回、とある鋼材加工メーカーA社様向けに、そのPM手法を導入するための研修を行いましたので、レポートとして紹介していきます。

お客さまのお困りごと

まず、今回のA社様のお困りごとをヒヤリングしたきっかけは、PM手法という内容ではありませんでした。A社様の担当部長の声としては、「金型を設計して加工して納品するまでの一連のプロセスの効率化をしたい」という要望でした。

私は業務効率化のコンサルタントではありますが、とある企業の代表(Xさん)に相談いたしました。

Xさんは、図面の3D化を始めとした設計業務効率化および加工データ自動作成など、まさに製品設計・金型設計・金型加工のプロフェッショナルとして、日本全国でその手法を教えるコンサルタントとして活躍されている方です。

そんなXさんとともにお客さまのお悩みを再度ヒヤリングしていったところ、真のお悩みは、

「日常の開発業務が管理できていない」
「誰が何をしているか分からない」
「計画だけはあるものの、なかなか進まない」

など、日常の業務管理やプロジェクトの遂行方法に問題があることが分かりました。このA社様にとって今最も優先して手を入れるべきは何か。PM手法を自ら実践していたXさんも、PM手法をかじっていただ私も、今A社様に必要なのは、

「金型業務の効率化ではなく、日常業務を確実にかつ効率良く進めるための確かなPM手法の導入だ!」

と、当初お話しいただいていたお話とは異なる結論を導き出し、A社様担当部長および工場長とも合意し、PM手法の導入についての研修を行うこととなったのでした。

なぜ製造業にPM手法の導入が必要か

育成

自動車業界や大手のメーカーでは既にPM手法を取り入れている企業も多いのかもしれません。ただ、私が知る限りでは、PM手法を導入していない企業の方が圧倒的に多いです。

現に、私が新卒入社した大手企業ではPM手法なんて使用していませんでしたし、言葉すら聞いたことがありませんでした。米国などの外国では、特にIT業界を中心にPMBOKなどに体系化されたPM手法が活用されていると聞きます。

こうした最先端(もはや最先端ではないけど)の手法を取り入れることは、日本の製造業にとっては抵抗があったものと思われます。ところが、高度経済成長やバブル経済崩壊を経て、人口や市場が縮小していく時代に突入し、ただ仕事をすればお金になる時代はとっくに終わりを迎え、いかにプロジェクトのライフサイクルを速く回すかが求められる時代になっています。

これまでに自分が、自社が、自社の業界が積み上げたものだけに頼るのではなく、他の考え方を取り入れながら、より効率の高い、言い換えると、生産性の高い企業活動をしていく必要があるのです。逆に言えば、PM手法などのこれまでと違う考え方を取り入れない限りは、その企業がいつ淘汰されてもおかしくない時代になったともいえます。

日本の製造業が重要だからこそ、PM手法の導入も一つの重要な要素になると考えています。

なぜ私たちが製造業にPM手法を教えられるのか

人材

PMはかなり難易度の高い国家資格です。Xさんも、私も、そのPMの資格は保有していません。しかしながら、Xさんも、私も、もともとは大手製造企業に勤務し、製品および金型を設計・開発していた技術者です。

プロジェクトの遂行はもはや日常であったとともに、製造業の組織内で行われるプロジェクトだからこそ生じる問題や、発生するコンフリクトなどはたくさん経験してきています。

いわば製造業におけるプロジェクトリーダーとしての失敗経験がたくさんあるのです。

そしてさらに、その問題の一つ一つに照らし合わせても、PM手法を活用することで大半の問題を予め潰しておくことができることもまた知っているのです。資格を保有しているからと言って、製造業でのプロジェクトの経験が少ない人に教えてもらうより、私たちのような経験がある人と共感しあいながら学ぶ方がはるかに学習意欲がわき、学習の密度も高まります。

それに、PMの資格を取ってほしいというわけではありません。

あくまで目的は、生産性高くプロジェクトを遂行することです。

本格的なPMを知りたい方は、“PMBOK(Project Management Body of Knowledge)”などを勉強されると良いと思います。

現場の声はどうか

今回、Xさんを講師に迎えて行ったA社様での研修の最初に、「これまでなんでプロジェクトが失敗したか」についてブレーンストーミングのようにたくさん書き出してもらいました。
(↓チームに分かれて原因分析している様子)

その結果、

・そもそも不要なプロジェクトだった
・途中で予算がなくなり中止になった
・本当はやる価値がないのに誰も止められなかった
・コミュニケーション不足で何をしていいのかわからなかった
etc…

たくさんの原因が挙がってきました。

現場ではたくさんのプロジェクトの失敗を敬遠したり、見たり聞いたりしています。ところが、どのようにプロジェクトを遂行するのが良いのか、なかなかこれといった答えが見つけられないのです。そんなときに、体系的にまとめられたPM手法を改めて学ぶことは、学びの必要性も感じているため、大変意義のあることなんです。

どのようにPM手法が悩みを解決してくれるのか

教える

研修の内容を一部紹介します。

PMBOKには“10の知識エリア”と“5つのプロセス”いう項目が定められています。

<10の知識エリア>
・プロジェクト統合マネジメント
・プロジェクト・スコープ・マネジメント
・プロジェクト・スケジュール・マネジメント
・プロジェクト・コスト・マネジメント
・プロジェクト品質マネジメント
・プロジェクト資源マネジメント
・プロジェクト・コミュニケーション・マネジメント
・プロジェクト・リスク・マネジメント
・プロジェクト調達マネジメント
・プロジェクト・ステークホルダー・マネジメント

<5つのプロセス>
1. 立ち上げ
2. 計画
3. 実行
4. 監視・管理
5. 終結

先ほどの現場の声に対しても、このフレームに当てはめながら事前に計画を立てて実行できていたら、防げている失敗も多くありそうじゃないですか?

研修においては、このような知識を活用しながら、実際のお客さまのテーマに沿って、体系的に学習を進めていくことで、成果を上げつつ、手法を取得していただける内容になっています。

また、この手法をもう少し具体的に紹介した記事があります。

具体的方法にご興味がある方は、こちらの記事もご覧になってみてください。

きっとヒントが得られると思います!!

おわりに

先ほども述べましたが、目的は、「生産性の高いプロジェクトの遂行」です。これができなければ、今後日本の製造業は衰退の一途を辿るかもしれません。日本にとって重要な産業だからこそ、そして、確かな世界のトップを走る品質を持つ日本だからこそ、新たな手法を取り入れながら、パラダイムシフトに成功し、さらに発展してほしい。

延いては、日本の製造業を含む中小企業に従事する人たちが、もっと輝く社会になってほしいと願うばかりです!今回ご紹介しました、【製造業向けPM手法導入研修】についてご興味の方は、ぜひお問い合わせください。


著者

大原 健佑

出身:長野県長野市 最終学歴:東北大学 工学部 金属工学科 卒
保有資格:中小企業診断士・QMS審査員補/2015 (JRCA登録番号:A22594)(ISO9001審査員資格) ・QC(品質管理)検定1級 ・フォークリフト ・床上操作式クレーン ・玉掛け

ものづくり企業の生産性向上と人財育成を促進する専門家。
「現場が自ら動く!」「現場に任せる!」「業務改善を圧倒的に加速させる!」「技術開発を確実に進める!」をベースに、各ものづくり企業の業務改善プロジェクトに参画し、プロデュースを行っている。