品質管理と品質保証の違いとは?

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品質管理と品質保証の違いとは?

品質保証

「品質管理」と「品質保証」という言葉は、製造業において日常的に使われるものです。

しかし、この2つの言葉の違いを正確に理解し、実際に運用できている企業は、大企業はともかく中小企業ではどれくらいあるでしょうか?

どちらも「品質」に関わる重要な役割を担いますが、内容や目的には大きな違いがあります。

この記事では、品質管理品質保証の違いを明確にし、企業が持つべき「品質保証体制」の構築についても解説します。

自社の品質管理体制を見直し、顧客満足度を向上させるためのヒントを得ていただければありがたいです。

品質管理と品質保証が曖昧だと企業はどうなるか?

まずに、企業にとって「品質管理」と「品質保証」の違いが曖昧だとどのようなリスクがあるかを考えてみましょう。

多くの中小企業ではこの2つの言葉が混同されており、品質保証部門でありながらも、実際には品質管理の業務しか行っていないということがよくあります。

これは、表面的には品質が保たれているように見えるかもしれませんが、顧客の期待に応える品質体制が不十分になるという大きなリスクを抱えているのです。

たとえば、次のような問題が生じる可能性があります。

  • 顧客からのクレームが増える: 製造過程での検査はしっかり行われていても、製品の使い勝手や性能が顧客の期待に応えていない場合、クレームが増えることがあります。
  • 市場ニーズの変化に対応できない: 市場や顧客のニーズが変わったとき、品質保証体制が整備されていないと、その変化に適切に対応できず、競争に後れを取ることがあります。
  • ブランドイメージの低下: 一度でも品質に関する問題が発生し、顧客の期待に応えられなかった場合、ブランドの信頼が損なわれ、修復には多くの時間とコストがかかることになります。

品質管理だけに注力している企業では、製品の「できばえ」にのみ焦点が当てられ、顧客のニーズや期待を十分に反映できていない場合があるのです。

品質とは何か?お客様の期待を超えるものづくり

「品質」と聞くと、製品の性能や耐久性を思い浮かべるかもしれません。

しかし、品質とはそれだけではありません。品質とは、最終的にお客様が製品やサービスに対して抱く期待にどれだけ応えられるか、さらにはその期待を上回ることができるかが重要なのです。

たとえば、自動車を購入する際に消費者は、性能だけでなく、安全性やデザイン、操作性、さらにはアフターサービスの充実度まで考慮します。つまり、品質は製品そのもののスペックに限らず、お客様が体験する全体の満足度に深く関わるのです。

品質に影響を与える要素は次の通りです。

  • 製品性能: 製品が仕様通りに機能し、期待された結果を提供できるか。
  • 安全性: 製品が安全に使用できるか。特に製造業では、この要素は欠かせません。
  • 信頼性と耐久性: 長期間使用した際に製品の品質が維持され、故障が少ないこと。
  • アフターサービス: 製品に問題が生じた際、迅速で適切なサポートが得られるか。

企業が顧客の期待に応え、さらには期待を超えるためには、これらすべての要素を考慮した包括的な品質保証が必要です。

品質管理と品質保証の違いとは?

品質管理と品質保証は、製品やサービスの品質に関連する活動ですが、それぞれの焦点や目的は異なります。ここでは、両者の違いを具体的に解説します。

品質管理 (Quality Control, QC)

品質管理は、製造や生産プロセスにおいて主に製品やサービスの「できばえの品質」をコントロールすることに重点を置いた活動です。当然、「できばえの品質」は「ねらいの品質」との比較評価ですので、「ねらいの品質」が設定されていることが前提とはなります。

主な目的は、製品が事前に定めた基準や仕様を満たし、一定の品質を維持することです。

具体的な活動としては、次のようなものがあります。

  • 製品の検査とテスト: 工場で生産された製品が、設計通りに動作するかを確認する。
  • 不良品の検出と対応: 製品に不具合があれば、その場で修正や廃棄を行い、原因を特定して再発防止を図る。
  • プロセスの改善: 生産プロセスで問題が発生した場合、問題箇所を改善し、効率を向上させる。

品質管理は、内部プロセスの管理に焦点を当てており、製造段階での管理を通じて品質を維持するための活動です。

品質保証 (Quality Assurance, QA)

一方で、品質保証は、顧客の期待に応える品質を「保証」するための活動です。

これは、製造現場だけでなく、企画・設計段階から製品の納品後まで、すべてのプロセスにおいて行われます。

品質保証は、単なる製造過程のチェックを超えて、企業全体で行うべき活動です。

品質保証の具体的な活動には、次のようなものがあります。

  • 顧客ニーズの分析: 顧客が何を求めているのかを把握し、その期待に応えるための製品開発を行う。
  • プロセス保証: 製造過程だけでなく、設計や開発段階から品質を保証する仕組みを整備する。
  • システム保証: 社内のシステムや手順が一貫して機能し、常に高品質を保てるようにする。

品質保証は、製品の企画段階から納品後のサポートまで、全体的な品質を保証するためのプロセスを管理します。

品質管理が製品の製造時の品質を管理するのに対し、品質保証は企業全体の活動を通して製品やサービスが顧客の期待に応えるかどうかを保証するということです。

品質管理は品質保証の一部

品質保証は、製造過程だけでなく、開発や設計、アフターサービスまで含む広範な活動になることはご理解いただけましたでしょうか。

つまり、実は品質管理は品質保証の一部に過ぎないとういことです。

品質管理が、製品やサービスが製造プロセスの中で適切に作られているかどうかを確認するのに対し、品質保証は、製品が顧客の期待に応えるよう、企画段階から全体を見通したシステムを構築することを目的としています。

たとえば、自動車メーカーでは、新しい車種を設計する際に、顧客が求める安全性や快適性を考慮し、製品開発が進められます。この段階で行われる検討のプロセスが品質保証の一環です。製造段階では、品質管理が適切に行われ、最終的に車が市場に出るときには、品質保証の枠組みが全体をカバーしています。

品質保証とは、こうした全体を包括する概念であることを押さえておきましょう。

まとめ

品質管理だけに頼ることは、企業にとって大きなリスクを伴います。

品質保証体制が整っていない企業は、競争力を失い、市場での信頼を失う可能性が高まります。だからこそ、包括的な品質保証体制を構築し、製品やサービスが常に顧客の期待を超える品質を提供できるようにすることが重要です。

弊社では、製造業を中心とした企業に向けて、品質保証体制の構築や見直しを支援するコンサルティングサービスを提供しています。品質保証の枠組みを見直し、競争力のある製品を提供できるよう、全力でサポートいたします。 自社の品質管理や品質保証に関してお悩みの企業様は、ぜひ一度お問い合わせください。お客様の期待を超える品質を提供し、さらなる成長を目指すためのお手伝いをさせていただきます。

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著者

大原 健佑

出身:長野県長野市 最終学歴:東北大学 工学部 金属工学科 卒
保有資格:中小企業診断士・QMS審査員補/2015 (JRCA登録番号:A22594)(ISO9001審査員資格) ・QC(品質管理)検定1級 ・フォークリフト ・床上操作式クレーン ・玉掛け

ものづくり企業の生産性向上と人財育成を促進する専門家。
「現場が自ら動く!」「現場に任せる!」「業務改善を圧倒的に加速させる!」「技術開発を確実に進める!」をベースに、各ものづくり企業の業務改善プロジェクトに参画し、プロデュースを行っている。