「プレーヤーとしては優秀なんだけど、管理職として人を育成できない。。」
こんなお悩みはありませんか?
経団連としても、あらゆる角度から人材育成に関する調査をして、研修プログラム作成などの支援を展開しているほど、人材育成は企業にとっては永遠のテーマともいえる課題です。
さて、管理職やマネージャーになると全ての作業を自分でやるわけにはいかないので、部下を育成しつつ仕事を自働的に回せる組織作りが大切になります。
そんなときに、“部下を育成できない管理職”が会社全体としては大きな足かせとなってしまうケースが多く発生しています。
人材育成には3つの視点が揃うことが大切です。
視点①:仕事/作業手順
視点②:判断基準
視点③:仕事のなぜ?
今回は、そんな人材育成に必要な上記3つの視点について解説していきます。
下記の動画ではその他の事例のご紹介をさせていただいております。併せてご確認のほどお願いいたします。
視点①:仕事/作業手順
人材育成と言われて真っ先に思い浮かぶものではないでしょうか?
いわゆる、「マニュアル」や「手順書」がこれに相当します。
こちらは改めて言われるまでもない内容かと思いますので、マニュアル作成のコツだけお伝えいたします。
【仕事を分解してきちんと並べる】
これだけです。
これだけなんですが、仕事をしている当事者にとってはこの“仕事の分解”が意外と難儀だったりします。
例えば、成形の段取りをする人。
この作業に慣れた人は、“段取り”という大きな括りのまま仕事を教えようとしてしまいます。
例えば、成形作業の段取りと言っても以下のような作業があります。
・金型の準備をする
・成形機を停止する
・金型を外す
・金型を取り付ける
・成形機の電源を入れる
・合わせ確認をして増し締めする
・ヒーターを入れる
・材料の準備をする
こういった細かい作業に分解することが大切です。
視点②:判断基準
「何の」仕事をすることを伝えたら、その次は「どの程度までやるべきか」を伝えなければいけません。
各作業の項目だけが並べられていても、実際にやってみたら「どのくらいやるの?」という疑問が湧いてくるものです。
先ほどの成形の段取りの話で言えば、
・金型の準備をする → どのタイミングでどこに置くの?
・成形機を停止する → 電源を止めるの?冷却水も止めるの?
・金型を外す → 先に金型置き場に持っていくの?どこに置くの?
・金型を取り付ける → ボルトの締め具合はどのくらい?
・成形機の電源を入れる → 冷却水も入れる?
・合わせ確認をして増し締めする → どの程度締めるの?
・ヒーターを入れる → 暖気は何度に設定するの?
・材料の準備をする → ホッパーまで入れるの?
と、いろんなところで“程度問題”があります。
その作業をどの程度やるのか、その判断基準を明確にしていく必要がありますよね。
と、ここまでは比較的当たり前のことだと思いますのが、実は最後の一つの視点が重要です。
視点③:仕事のなぜ?
「なぜその仕事をするのか」
この問いに明確に答えていけるかどうかで、仕事を覚えていけるかどうかに大きく差がつきます。
作業の手順と判断基準の全てを誰が見ても分かるようなものとして明確に残すことは困難です。
そんなとき、「なぜその仕事をするのか」が分かっていると、作業手順や判断基準を明確にする手助けにもなります。
また、ただ言われた作業を覚えるだけの人と、何を目的としてその作業が必要なのかを理解している人とでは、後者の方が圧倒的に成長が速いことはお判りいただけるかと思います。
ところが、この“そもそもの仕事の目的”に関しては、部下の育成おいては抜けがちなんです。
・成形機を止める前に金型を準備するのは外段取りで停止時間を削減するため
・成形機のヒートアップをしてから材料の準備をするのは、ヒートアップの待ち時間を有効活用するため
・作業のマニュアルを作成するのは教育コストを削減するため
・作業日報を書くのは作業分析をして効率化の切り口を見つけるため
・5Sをするのは安全のため、ものを探す時間を削減して生産性を高めるため
etc…
本来、仕事には目的があります。
その「なぜ?」に対する答えの教育や、「なぜ?」と問いかけられる教育こそが最も大切なんです。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
これまでのコンサルティングの経験からも、「なぜの教育」ができている組織は非常に強いです。
各従業員が目的意識を持っているからこそ、事細かいマニュアルなんかも不要ですし、状況に応じた対応が臨機応変にできる組織になっています。
部下を育てるなら、現場は任せられるこのような部下に育ってほしいですよね。
そして、本来のマネジメント業務に集中し、情報収集と意思決定に神経を集中させることが会社を成長に導くために必要なことなんだと私は思います。
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