製造業にとって、最少の工数として行きたい間接業務。業務改善を進めるステップの3番目のグランドルールについて紹介します。
YouTubeの動画でも同様の内容を解説しています。ぜひ動画でもご確認ください。
業務改善に欠かせないもの
業務改善のプロジェクトを進める際に欠かせない要素があります。
「メンバー間の良好な関係性」です。
当たり前の話ですが、問題意識を共有していく、連動したタスクを実施していくためには、メンバー間の連携が重要になります。そこで、信頼関係サイクルを回して良好な関係性を構築していきます。
まず、お互いの尊重です。ただ、口で言うのは簡単ですが、これが一番難しいです。前提として、お互いがもともと別の業務をしていた人であり、業務に関する知識やバックボーンが違う、ということを踏まえておくことがポイントです。従って、相手が行っていた業務の意味や関係者に関してゼロベースで理解するつもりで意識を持つと良いかもしれません。
次に、一緒に考えることです。お互いを尊重していれば、たとえ自分が一番詳しい業務だと思っても、客観的な意見を聞いたり、どのような解決策があるかを一緒に考えることができます。
一緒に考えていると、自分以外の人の目から見た自分には無い視点があり、想像してなかった考え方を知ることができることや、自分が言葉に出して説明していることをきっかけに本質に気が付いたりすることができます。自ら気が付いたことは具体的な行動を起こすモチベーションになります。気付いてモチベーションを持って行動を起こせば、少なからず成果につながります。
そして、成果が出れば信頼が高まり、より一層お互いを尊重することができます。繰り返しになりますが、一番最初の「お互いの尊重」が一番難しいです。そこで、グランドルールの⓪として、「話を聞く」ことを挙げておきます。
業務改善を進める際にありがちなのが“人の否定”です。
「なんでそんなことしてるんですか?」という質問でも、ニュアンスによってはバカにしているように聞こえてしまいます。そうではなく、そういったことには必ず理由があるというスタンスで、相手の話をきちんと聞くことを意識しましょう。
メンバーが何人か集まると、実は業務改善のプロジェクトに反対している人や、不満がある人や、モチベーションが低い人などがいたりするものです。
そうした人の話を頭ごなしに否定することなく、まず話を聞き、メンバーの心理的安全性を確保しましょう。難しいからといって最初から諦めることなく、信頼関係を築いていくにはこういったサイクルがある、ということを知っておきましょう。
グランドルール①:その場でアクションを決める
プロジェクトを進めるためには、何かしらのアクションを継続していく必要があります。ですが、打ち合わせの場でなかなか決まらないこともあるでしょう。そんなときでも、何かしらの具体的なアクションを決めて終わることをしましょう。ダメな例としてこんな終わり方があります。
「来週までに考えておいてください。」
これは、一見指示を出しているようで、実は曖昧で、具体的に何をどのように考えて、いつまでに発信するのかなど、どうして良いか分かりませんし、言われた本人とそれを聞いているメンバーの期待値に差が生まれてしまいます。
また、打ち合わせで決めたことは“絶対”であるということを守るためのものでもあります。後から別の人から入れ知恵があったりして、「打ち合わせの時には~~でしたが、~~しました。」ということになってしまい、「打ち合わせで話してた時間は何だったんだ!?」となってしまうのでモチベーションを下げてしまいます。
さらに、会議が形骸化してしまい、会議が終わった後に裏で話し合うチクリ魔ばかりになってしまう心配さえあります。こうした理由から、打ち合わせの場では何かしらの具体的なアクションを決めて終わり、会議の権威性を保ちましょう。
グランドルール②:仕組みを疑う
現在の業務が、問題が多かったり、ムダな手戻り等が発生していたり効率的にできていない場合を考えてみます。問題の原因をついつい人のせいにしてしまいがちですが、人のせいと仕組みのせいを分類すると、実は6:94の割合で、問題の原因が仕組みのせいであるが圧倒的に多いことが分かっています。
ですので、問題の原因追及時には、まずは仕組みを疑う、ということをメンバー間で共有しておきましょう。そうすることで、「(自分が悪いと思われないだろうか)」という心配も排除していきます。
グランドルール③:即実行・即成果
業務改善に限らず、何かしらのプロジェクトでモチベーションが下がっていく要因の一つに、実施している取り組みの効果が感じられなかったり、プロジェクトが進んでいる気がしない、というものがあります。
それはそうですよね。
日常の業務だけでも忙しいのに、さらに時間を取って業務改善のプロジェクトをしていて忙しさを助長しているのに、その効果が見えてこないとやる気がなくなります。どのくらい進んでいるのかが分からないと、自分がプロジェクトに掛けている時間は何なんだと虚無感を感じてしまいます。
ですので、気軽に始められることや短い時間で実行できることにまずは取り組んでいくことも大切です。たとえ効果が小さくても、良いでしょう。
逆に効果が大きいからといって、成果が出るまでに時間がかかるものから取り組んでしまうと、結局途中で頓挫してしまったり、モチベーションが下がって人が集まらなくなってしまったりして、何も進まないことが良くあります。
取り組むタスクの優先順位を決める際にぜひ考えてみてください。
おわりに
この記事では、⓪も含めて、4つのルールを紹介してきました。プロジェクトリーダーやメンバー含めて全員が意識していただければ、きっと良い取り組みになるでしょう。
また、このルールを常に意識するには、ファシリテーションのスキルも必要になります。コンサルタントなどの専門家に司会役(ファシリテーション)を依頼してみることも、業務改善のプロジェクトをスムーズに進める良い手段です。
お困りの際はぜひご相談ください。
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