中小製造業の業務改善の進め方⑤~業務改善体制図~

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中小製造業の業務改善の進め方⑤~業務改善体制図~

業務改善の業務改善体制図

製造業にとって、最少の工数として行きたい間接業務。業務改善を進めるステップの5番目、業務改善体制図について紹介します。

YouTubeの動画でも同様の内容を解説しています。ぜひ動画でもご確認ください。

役割分担の認識を共有せよ

業務改善のようなプロジェクトを進めるとき、プロジェクトに関係するメンバーの役割分担について認識を共有することが非常に重要になります。認識に誤りがある場合、

「それは自分の仕事じゃないと思ってた。。」

「あれ?あなたの仕事じゃないの?」

というように、作業に抜け漏れが発生し、その抜け漏れが原因で各ステークホルダーに対してのコミュニケーションを妨げてしまったりします。業務改善のプロジェクトにおいては、大きく4つの役割があります。

・メンバー
・リーダー
・オーナー
・事務局

それぞれ見ていきましょう。

業務改善メンバーの役割

メンバーは、実際に業務改善を進めるための作業を実行するポジションです。主に行うこととして、

  • 業務分析の実行
  • 課題抽出の検討および実行
  • 改善案の検討および実行

の3つが挙げられます。業務分析の実行では、別の記事でも紹介した「業務棚卸表(https://gemba-c.co.jp/business-improvement/)」などを活用しながら業務を分析します。業務分析の結果、改善点を見出すとともに改善するための課題を検討し、詳細な分析や原因追及などを行って課題解決策となる改善案の検討をします。そして、改善案の実行を通じて課題解決を実行します。

業務改善リーダーの役割

業務改善リーダーの役割は主に4つです。

  • 業務改善の方針伝達
  • 業務改善進捗管理
  • ファシリテーション
  • 取りまとめ

どのような考え方で業務改善を進めていくのか、例えば、製造現場の間接業務を減らすのか、人によるミスをなくすためにデジタル技術を活用するのか、などの業務改善の目的にも通じる方針を、メンバーに伝達するとともに、各ステークホルダーにも正しく伝達します。

そして、メンバーが実行している業務改善の進捗を確認し、計画通りに進んでいるのか、計画通りに進んでいなければどのような対応をする必要があるのかを管理します。忘れてはならない役割としてファシリテーションがあります。

具体的には、メンバー間で行われるディスカッションや検討などのファシリテーションを行うことです。業務改善のためのプロセスマッピングを行う際に、関係者がプロセスを共有し、改善のためのアイデアを発見するために、プロセスマップを作成する手順を支援するとともに、問題解決のためのディスカッションやアイデアの出し合い、優先順位付け、アクションプランの策定、評価などでファシリテーションを行います。

さらに、別の記事でも紹介したステークホルダーとのコミュニケーションにおいてもファシリテーションが必要になります。関係者が情報を共有し、意見を交換するためのフォーラムを提供し、関係者間のコミュニケーションを円滑に進めるためのツールや技術を支援します。そして、そうした業務改善の方針から実行までを取りまとめるのがリーダーの役割です。

業務改善オーナーの役割

業務改善のプロジェクトにおけるオーナーの主な役割は以下の4つです。

・業務改善の責任者
・業務改善の方針管理
・他部門調整
・計画、実績の承認

オーナーというのは、“統括責任者”というと分かりやすいかもしれませんが、業務改善に関する責任を負うとともに、業務改善の方針を決定づけます。その他、リーダーやメンバーが最も期待する役割として他部門との調整があります。リーダーやメンバーは、特定の部署に所属していることも多いです。

しかしながら、業務プロセスは繋がっており、他部門の業務に影響を与えることもあります。その際には、他部門に対して権限のないリーダーやメンバーではなく、オーナーの権限の下で他部署に根回しをしておくことが必要です。また、実際にリーダーやメンバーは日常業務以外の業務改善プロジェクトを実行することになるため、業務時間を割くことが難しくなる可能性もあります。

そんなときにも、他部署の部門長を通してプロジェクトに時間を割くように業務命令を発令することも必要になってきます。

業務改善プロジェクトの事務局の役割

事務局の役割はプロジェクトを円滑に進めることで、主に以下の4つがあります。

  • 全体監視
  • 環境整備(ツールなど)
  • 経営層との連携
  • 啓蒙活動

業務改善プロジェクトでは、多くのチームや関係者が関わるため、全体的な進捗や問題点を把握し、適切な対応を行うことが必要です。事務局は、プロジェクト全体の進捗状況や問題点を監視し、必要に応じてプロジェクトマネージャーや関係者に報告することで、プロジェクトの円滑な進行を支援します。また、適切なツールやシステムを導入することが必要です。

事務局は、ツールの選定や導入、運用管理などを行うことで、プロジェクトの円滑な進行を支援します。そして、プロジェクトで必要な情報やドキュメントの整理や管理、アクセス権限の設定なども行います。プロジェクトの進行には経営層の承認や支援が必要不可欠ですが、事務局は経営層との連携を取り、プロジェクトの進捗状況や成果を報告し、支援を受けることで、プロジェクトの成功に貢献します。

関係者間(ステークホルダー)のコミュニケーションや共有ももちろん重要です。事務局は、プロジェクトの目的や重要性を周知するために、啓蒙活動を行うことで、関係者の理解と協力を得ることができます。また、プロジェクトに関する情報の共有やコミュニケーションの場を提供することも役割の一つです。

おわりに

業務改善体制図

業務改善の体制図を明確に書き表しておくことで、コミュニケーションのロスやそれに伴うタスクの抜け漏れを防ぐことができます。それぞれの役割を明確にし、位置づけも明確にし、みんなが同じ認識になるようにしましょう。

そして、業務改善プロジェクトの前提として、仕事の押し付け合いをしない、範囲を超えた仕事を安易にしないなと、基本的な行動方針を守ってプロジェクトを円滑に進めていただければ良いなと思います。

また、事務局はプロジェクトを円滑に進めるための潤滑油です。各方面への気配りや根回し、適切な監視など、その役割は多岐にわたりますので、経験のあるメンバーの選出が必要です。

その際には、ぜひ外部専門家の活用も検討してみてください。当社でも、業務改善プロジェクトを始めとして、製品・サービス開発や生産プロセス開発などの事務局(Project Management Office)業務を承っております。

プロジェクトを進める際には遠慮なくご連絡ください。

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著者

大原 健佑

出身:長野県長野市 最終学歴:東北大学 工学部 金属工学科 卒
保有資格:中小企業診断士・QMS審査員補/2015 (JRCA登録番号:A22594)(ISO9001審査員資格) ・QC(品質管理)検定1級 ・フォークリフト ・床上操作式クレーン ・玉掛け

ものづくり企業の生産性向上と人財育成を促進する専門家。
「現場が自ら動く!」「現場に任せる!」「業務改善を圧倒的に加速させる!」「技術開発を確実に進める!」をベースに、各ものづくり企業の業務改善プロジェクトに参画し、プロデュースを行っている。