なぜDXが失敗するのか~何もかもが“逆”のプロジェクト~

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なぜDXが失敗するのか~何もかもが“逆”のプロジェクト~

なぜDXが失敗するのか~何もかもが“逆”のプロジェクト~

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DX”については、これまでにも何度か記事をアップさせていただいています。

しかしながら、よく聞くお話は失敗、頓挫のお話ばかり。

そんなお話を聞いていて、

「あれもこれも“逆”だな」

と思うようなことがありましたので、DX失敗と成功の違いをまとめてみました。

動画でもDXに関する情報を解説していますので、ぜひご確認ください。

かける時間が逆

まず一つ目の違いは、「かける時間が逆」ということです。

詳しく解説していきます。

プロジェクト遂行のプロセス

DXをプロジェクト的に取り組む企業も多いことでしょう。

そんなときのプロジェクトを遂行するプロセスは、おおよそ以下の図のようになっていると思います。

  1. ビジョン・戦略立案
  2. プロジェクト目的確立
  3. コンセプト作成
  4. 開発・実装
  5. 運用

さて、このプロセスを踏まえて、それぞれのプロセスにかけるべき時間を見ていきましょう。

本来のかけるべき時間とは

プロジェクト遂行のプロセスに対して、本来かけるべき時間は下図のようにするべきだと考えます。

初期段階のビジョン・戦略立案に最も時間をかけ、後のプロセスに行くにしたがってかける時間を減らしていく。

言い換えれば、上流でしっかり議論を尽くし、あとはその手段の検討や実行を粛々と進める流れです。

なぜなら、初期段階は思考の自由度が最も高く、自由度が高い状態からプロジェクトを具体化していく上流工程のプロセスは多角的に判断していく必要があるからです。

本来、このような時間のかけ方が理想であると考えています。

なぜか逆の時間の使い方

ところが、DXに失敗した話を聞いているとそうはなっていません。

ほぼ漏れなくと言っていいほど、下図のような時間のかけ方をしてしまっています。

自由度が高い状態での議論に時間をかけることなく、曖昧なままプロジェクトが進行してしまいます。

結果として、目的に対する納得感も十分ではなく、それによって開発されるシステム(仕組み・ルール)も要領を得ずに仕様変更のオンパレード。

さらに、そのシステム(仕組み・ルール)を運用するフェーズに至っては、みんなが複雑なルールやそれぞれの思いに振り回されて動きがバラバラで収拾がつかない。

こうしてDXが失敗・頓挫に終わるのです。

それだけならまだマシで、あまりに不便なため従来のシステムに戻す、あるいは従来のシステムとの二重管理をする羽目になり、より生産性が下がったなんていう場合もあります。

これでは本末転倒ですね。

思考が逆

さて、もう一つ逆だと思うことに、DXの思考プロセスがあります。

これもまたDXに限らない内容ですので、詳しく見ていきましょう。

DXの出発点とリーダーの仕事

プロジェクトとは、言い換えれば“課題解決”とも言えます。

そして、その課題とは問題の解決策であり、あくまでも出発点は問題の定義にあると考えます。

ここで“問題”の本来の意味に立ち返ってみましょう。

問題 = 理想(あるべき姿・ありたい姿)と 現実 のギャップ

です。

すなわち、問題を定義することは、理想を定義することと同義です。

つまりこれがリーダーの仕事なのだと思います。

勘違いが多いのは、「解決策(課題)を考えることがリーダーの仕事である」との認識の誤りです。

確かに問題の解決策までを考えてくれるリーダーが優れているようにも思えますが、問題の解決策を考えること以上に、問題そのものを定義することの方が圧倒的に大切な仕事です。

改めて、問題解決のプロセスを書くと下の図のようになります。

まずはこれが前提であると理解してください。

なぜか逆に考える人が多発!

さて、問題解決のプロセスを踏まえてお話をします。

失敗するDXなどのプロジェクトは、こういう発想になっています。

<DX失敗の思考パターン>

「売上・利益を向上させたい!」
「そのために何をしようか!」
「じゃあこれをやってみよう!」
「あれ?こんなはずじゃなかった。。」

さて、この思考の流れを見てみると、本来の問題解決のプロセスの【結果】であるはずの「売上・利益」から出発してしまっています。

そこから、本来は上流行程であるはずの「解決策」を考えているんです。

おかしいですね。

そしてここで行き詰ります。

なぜなら、

解決策から問題は出てこない

からです。

当然、得られる結果は理想の姿にはなりません。

そう、思考のプロセスが全く逆なんです。

こうして整理して図にしてみると非常に分かりやすい失敗と言えます。

おわりに

いかがでしょうか?

ビジョン、ミッション、パーパス、ゴールetc…

人によって表現は違いますが、こうした目的や目標に通じるものをしっかりと時間をかけて定義し、それに向かって活動を進めることこそ大切であるという、ある意味では基礎に基づいた活動が大切だということがお分かりいただけましたでしょうか?

とはいえ、自社内だけですとついつい手段の目的化をしてしまったり、大局的に見ることができなかったりするものです。

専門性と総合性を併せ持つコンサルタントに相談することは、結果的に計画の精度を上げ、計画実行をスムーズにさせる一つの大きな手段です。

DXに限らず、プロジェクトの遂行に課題がある方は、お気軽にご相談ください!

製造業のコンサルティングはGEMBAコンサルティングにお任せ下さい。

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著者

大原 健佑

出身:長野県長野市 最終学歴:東北大学 工学部 金属工学科 卒
保有資格:中小企業診断士・QMS審査員補/2015 (JRCA登録番号:A22594)(ISO9001審査員資格) ・QC(品質管理)検定1級 ・フォークリフト ・床上操作式クレーン ・玉掛け

ものづくり企業の生産性向上と人財育成を促進する専門家。
「現場が自ら動く!」「現場に任せる!」「業務改善を圧倒的に加速させる!」「技術開発を確実に進める!」をベースに、各ものづくり企業の業務改善プロジェクトに参画し、プロデュースを行っている。