製造業の販路拡大:安定した成長への道

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製造業の販路拡大:安定した成長への道

製造業の販路開拓

この記事では、製造業の中小企業がどのように販路開拓を進めていくのか、その手段や方向性について紹介します。新たな取引先の開拓方法にお困りの企業や、売り手の交渉力が弱まっている企業の方は是非ご参考になさってください。

製造業における販路開拓の重要性

製造業では、売上の減少や特定の顧客への過度な依存が大きなリスクとなることがあります。このような依存状態は、その顧客の事業が減速した際に、売上に直接的な打撃を与える可能性があるためです。特に中小企業の場合、一部の大口顧客に依存していると、その顧客の需要が減少すると売上が急激に下がる危険があります。さらに、売上の不安定性は、運転資金や投資資金の確保が難しくなり、経営の持続可能性に影響を及ぼすことがあります。この問題は、特に資金調達が困難な中小製造業にとっては深刻な課題となります。

こうした状況を踏まえて、販路開拓は売上減少や資金繰りの問題が深刻化する前に認識し、行動を起こす必要があります。新しい市場や顧客を早期に開拓することで、リスクを分散し、事業の安定性を高めることができますが、新しい販路を見つけるプロセスには時間がかかり、「売上が減ってきたから新しい取引先に!」とすぐに成果を期待するのは難しいです。したがって、長期的な視点と計画的な取り組みが求められます。

販路開拓は一時的な対策ではなく、長期的な事業戦略の一部として考える必要があります。市場の動向を常に監視し、顧客の多様化や新しいニーズに適応することが重要です。これにより、製造業は市場の変動や特定の顧客の業績変化に左右されるリスクを低減し、経営の安定性を維持することが可能となります。販路開拓は、新しい顧客を獲得すること以上の意味を持ち、事業のリスクを分散し、長期的な安定と成長を実現するための重要な戦略となるのです。

販路拡大の効果

製造業の販路拡大の効果

製造業での販路拡大は、単純に売上が増える効果だけでなく、企業の交渉力を顕著に強化する効果があります。複数の取引先を持つことによって、価格交渉の際により強い立場を確保することが可能になります。これを経営の用語で“売り手の交渉力”と言います。これは、特に物価が上昇するなどの経済的な変動が見られる状況下で重要になってくる力です。例えば、原材料のコストが上昇した際に、単一の大口顧客に依存している場合、価格転嫁が難しくなります。しかし、複数の取引先がある場合、一部の顧客との交渉が難しくても他の顧客との取引でバランスを取ることができるため、全体としてのリスクが低減されます。

また、販路拡大は、企業が特定の主要な顧客に依存するリスクを軽減します。多くの製造業では、一部の大きな顧客に売上の大部分が依存していることがあります。これは、その顧客の事業に何らかの変動があった場合、製造業自体の売上にも大きな影響を及ぼす可能性があります。いわゆる“一社依存”の状態のことですね。しかし、販路を拡大することによって、複数の小規模な顧客や異なる市場に分散することが可能になり、一部の顧客に対する依存度を減らすことができます。これにより、市場の変動や個々の顧客の事業変化による影響を軽減し、事業の安定性を高めることができるのです。

販路拡大は、単に新しい顧客を獲得する以上の意味を持ち、企業の交渉力を強化し、事業のリスクを分散する重要な戦略となります。これにより、企業はより安定した経営基盤を構築し、市場の変動に対して柔軟に対応できるようになるのです。

販路拡大の方法

販路拡大の方法

商談会への参加

地元の商談会や自治体の支援イベントに参加することで、新しい事業パートナーを見つける機会が得られます。これは特に中小企業にとって効果的なアプローチです​​。地元の商談会や自治体の支援イベントへの参加は、特に効果的なアプローチと言えます。これらの商談会は、都道府県や市町村が提供する産業支援や経営支援の一環として定期的に開催されており、多くの場合無料または低コストで参加できるという特徴があります​​。

商談会では、参加企業が自社の製品やサービスを紹介し、新しい事業パートナーや顧客との関係を築く機会が得られます。特に人手不足や外部委託の需要が高まる現在の事業環境では、これらのイベントは、自社の提供するサービスに関心を持っている新しい顧客やパートナーと出会うための絶好の場となり、さらには市場のニーズを直接確認し、必要に応じて技術開発や新たな取り組みを始めるきっかけとなり得ます。

このような商談会への参加は、特にリソースが限られた中小企業にとって、新しい事業チャンスを発掘し、成長のための新たな道を開く上で極めて有効です。市場の変動に柔軟に対応し、自社の事業を拡張する機会を得るために、これらのイベントへの積極的な参加が企業成長のカギとなるでしょう。

展示会への出展

製造業の展示会

展示会への出展は、製造業における販路開拓において非常に重要な役割を果たします。展示会は、自社の製品や技術を広く紹介し、新しい顧客層にアクセスするための強力なツールとして機能します。さらに、新しい市場のニーズやトレンドを理解するのにも絶好の機会となります。展示会は、イベント主催者によって多くの顧客が集められるため、参加企業は基本的には集客することなく多くの潜在的な顧客と接触できるようになります。特に新商品を開発した企業にとって、展示会はその商品をどのように市場に紹介するかを考える上で非常に有益です​​。

しかし、展示会への出展は一定のノウハウを必要とします。これまで展示会に出展したことがない企業には、他の展示会に参加して市場のニーズや他の企業の出展内容を観察することを推奨しています。この観察を通じて、自社の製品やサービスが市場でどのように受け入れられるか、また、どのように差別化を図るべきかのヒントを得ることができます。例えば、金属加工などの技術を提供する企業が他社の出展を観察することで、自社でも実現可能な展示のアイデアを得ることができます。

展示会への出展は、ただ製品を紹介するだけでなく、市場から直接フィードバックを得る機会でもあり、むしろそれがメインの目的だったりもします。来場者からの質問や反応を通じて、製品の改良点を発見し、さらなる開発の方向性を見出すことが可能です。また、展示会は競合他社の製品やサービスを知り、市場のトレンドを把握する場としても有効です。これらの情報は、自社の製品開発や販売戦略に活かすことができます。

展示会への出展は費用面での負担も伴いますが、これを将来の事業チャンスにつなげるための投資と考えることが重要です。出展に関する費用においては、政府や各自治体の補助金制度を活用できることも多くなってきていますので、ぜひ探してみてください。事前に市場のトレンドやニーズを理解し、自社の製品やサービスがどのように市場に受け入れられるかを熟慮することが、成功への道となるとともに、展示会での経験は、販路を開拓し、事業を今以上に成長させるための貴重な資産となるでしょう。

製造業のお客様から展示会関するご質問やご相談が増えておりますのではじめての方向けに記事をご用意しました。ぜひ合わせてご確認ください!

関連記事:製造業におけるはじめての展示会活用法

商社との連携

商社との連携

商社との連携は、特に中小企業の製造業において、新しい事業チャンスを探る上で有効な手法となります。多くの中小企業は、創業以来一貫して特定の取引先との関係を維持していたり、これまでの社長の人脈であったり、工業会などのコミュニティを通じて事業を展開してきました。このような企業にとって、既に関係を築いている商社との連携は、新たな商機を見出す重要な手段となります​​。

特に、設備導入において協力を得ている商社は、製造業者にとって重要なパートナーです。これらの商社は、設備導入と同時に新しい仕事の機会を紹介することがあり、製造業者にとっては新しい市場や顧客へのアクセスポイントとなり得ます。商社は、自社製品の販売に関する専門知識や市場情報を持っており、これらの情報を活用することで、製造業者は効果的に販路を拡大することができます。

また、商社との連携は、既存の事業モデルや市場など限定的な範囲に依存することなく、新しい市場や事業チャンスを探る上での新たな可能性を提供します。これにより、中小企業は市場の変動や特定の顧客への依存度を低減することができ、事業の安定性と成長機会を同時に追求することが可能になります。

このように、商社との連携を通じて販路を拡大することは、中小企業の製造業において、新たな市場への進出や事業の多様化を図る上で非常に有効な手段となります。このアプローチを通じて、企業は新しい事業機会を発掘し、長期的な成長と安定を目指すことができるでしょう。

展示会での成功の秘訣

展示会

先ほども紹介しました展示会への出展ですが、ここで改めて、自社の製品やサービスを広く紹介し、新たな顧客層にアクセスするための効果的な手段であることを強調しておきます。展示会では、多くの潜在顧客や事業関係者が集まるため、出展すること自体が大きなメリットをもたらします。

改めて、展示会出展での成功の秘訣を整理しておきましょう​​。

市場観察

展示会に出展する前に、他社の展示会出展を観察することが非常に重要です。これにより、他社がどのような製品やサービスを提供しているか、どのようなコンセプトで出展しているかを理解することができます。この情報は、差別化ポイントの模索など自社の展示会での出展戦略を練る上で非常に役立ちます。

自社の魅力を反映

自社の製品やサービスの強みや特徴を理解し、それを展示会でどのように効果的にアピールするかが重要です。競合他社との違い(差別化ポイント)を明確にすることで、来場者の注目を集めることが可能になります。このポイントをキャッチコピーに反映できると良いですね。

事前の準備

展示会への出展には、事前の計画が重要です。どのような製品やサービスをどのように誰に紹介するかを事前に綿密に計画し、適切な準備をすることが成功へのカギです。また、出展する際にはブースの設計や説明方法も重要な要素となります。これらは全て「展示会で来訪していただいた方に展示会後にどのようにアプローチするか」から逆算して考える必要がありますが、詳細は別の記事で紹介させていただきます。

ノウハウの蓄積

展示会への出展は一朝一夕に成功するものではありません。一度出展してみて、その経験を活かして次回の出展をより良くすることが重要です。このようにしてノウハウを蓄積し、継続的に展示会に参加することで、自社の販売力を強化することができます。最初の一回目は勇気がいる行動かと思いますが、その経験があるかないかでは大きな差です。例えば、売上が減少してきてから不安の中で展示会に投資するのはかなり難しいですが、売上が減少する前にそのノウハウを蓄積していれば、展示会出展の投資は比較的優しい決断になります。

これらのポイントを踏まえ、展示会を効果的に活用することで、製造業の企業は新たな販路を開拓し、事業の拡大を図ることができます。さらには、新しい市場のニーズやトレンドを情報として提供してくれる、将来の種をもたらすものでもあると理解しておくと良いでしょう。

まとめ

製造業における販路拡大は、新しい市場へのアクセスと事業の持続可能性を確保するために不可欠です。商談会への参加、展示会への出展、商社との連携などを通じて、新技術開発や新製品開発、あるいは自社商品開発などの新しい事業機会を生み出すことができます。これらの取り組みにより、製造業は売上拡大と安定した成長を実現することが可能になってきます。

弊社では、こうした事業戦略の全体像の策定支援から個別の技術課題の解決支援までをパートナー企業とともに一貫して行っています。

ぜひ、事業のより一層の成長や安定化へのプロセスを一緒に伴走させてください!

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著者

大原 健佑

出身:長野県長野市 最終学歴:東北大学 工学部 金属工学科 卒
保有資格:中小企業診断士・QMS審査員補/2015 (JRCA登録番号:A22594)(ISO9001審査員資格) ・QC(品質管理)検定1級 ・フォークリフト ・床上操作式クレーン ・玉掛け

ものづくり企業の生産性向上と人財育成を促進する専門家。
「現場が自ら動く!」「現場に任せる!」「業務改善を圧倒的に加速させる!」「技術開発を確実に進める!」をベースに、各ものづくり企業の業務改善プロジェクトに参画し、プロデュースを行っている。