昨今ではDXをはじめとして、より一層のIT活用が叫ばれています。
製造業においては、10年くらい前から盛んにIoTという言葉とともにIT機器を活用した働き方が提案されています。
ところが、(大手)ITメーカーの提案は刺さらないし、ツッコミどころだらけです。
今回は、そんなITメーカーからのカメラ活用の提案に対して突っ込んでいきます。
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目次
ITメーカーのダメ提案~カメラ活用~
『カメラを活用してIoT!』
というITメーカーの謳い文句はこんな感じになっています。
「休日や深夜に製造現場に行かなくても、不審者の侵入や、製造ラインの稼働状況を遠隔で確認できる!」
「立ち入りが難しい場所や、遠く離れた場所の状況をリアルタイムで確認することで業務を効率化でき、働き方改革を実現!」
「業務効率化!」
「コスト削減!」
現場を知らない人がよく言うことで、現場をちゃんと知る人からするとツッコミどころ満載です。
さて、1つずつ見ていきましょう。
反論①:労務管理どうするの?
「休日や深夜に製造現場に行かなくても遠隔監視できる」
って言われても、結局その監視の時間は給与が発生するわけでしょ?
自宅でたまに見ればいいからって給料下げることなんてできないし、じゃあ実際にどのくらい見てたかを監視するなんて、監視してる人を監視する仕組みみたいでやりたくないよ。
しかも、いつトラブルが起きるか分からないものを監視するのであれば、結局ずっと見なくちゃいけない。
で、もしトラブルが起きたら対処するのは現場じゃん。
ということは、ちょっと考えればわかりそうなものですけどね。。
現場を知らない人が考える謳い文句は全く刺さらないのです。
反論②:立ち入りが難しい場所はとっくにやってる!
「立ち入りが難しい場所や、遠く離れた場所の状況をリアルタイムで確認することで業務を効率化でき、働き方改革を実現!」
って言うけど、立ち入りが難しい場所なんて立ち入らないで見る方法を考えなきゃいけないんだから、そんなこともうとっくにやってるよ!
そんなにバカじゃないんだけど!
現場をちゃんと見たことない人、いろんな現場を体験したことがない人が言いそうな謳い文句は逆に反感を買うだけですね。
反論③:音とか振動とか臭いとかでも判断してる!
現場を監視するのに、見た目だけじゃなくて、実際には現場でしか判別できない音とか、振動とか、臭いとか、もっというと肌感覚とかでも判断してるんだけどな。。
どうせ言っても分からないだろうな。。
現場で働いたことがない人には見た目だけで判断してるように見えて、人は五感をフル活用して現場の状態を感じています。
視覚だけで判断できることは限定的で、しかも、カメラなんて一定の角度からの視覚であって、特定の角度からの視覚だけで判別できる異常なんて発生防止対策もとっくに実践していることが多いです。
現場を知らない人が考えそうなことです。。
反論③:ずっと見るだけにいくらかけるの?
特定の角度からずっと見る、そしてそんなことで分かる異常の対策はとっくにやられていて、カメラ映像を監視する人件費も削減できない。
で、その仕組みにいくらかかるんですか?
カメラとモニターと通信環境整備と初期設定と、、、
なんだかんだで数十万円かかるわけでしょ。
そしてメリットも不明確。。
結局、効果がない設備にお金なんてかけられませんよ。
カメラで監視してIoTだ!っていうのは、製造現場で働く人をバカにしていませんかね??
おわりに
いかがでしたでしょうか?
現場を知る人は絶対に引っかからないこんなカメラの提案、していませんか?
とはいえ、何かしらの単純作業に思える作業を効率化したい、作業に当たる人の負担を減らしたい、というご相談もあるかと思います。
GEMBAコンサルティングは、きちんと現場に伺い、なんの目的でどんな作業をしているのかを現場でしっかり見させていただいた上で、現場に合った対策を一緒に考えていきたいと思います。
遠慮なく、下記のお問い合わせフォームからご連絡ください!
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