昨今ではDXをはじめとして、より一層のIT活用が叫ばれています。
製造業においては、10年くらい前から盛んにIoTという言葉とともにIT機器を活用した働き方が提案されています。
ところが、(大手)ITメーカーの提案は刺さらないし、ツッコミどころだらけです。
今回は、そんなITメーカーからのセンサー活用の提案に対して突っ込んでいきます。
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目次
ITメーカーのダメ提案~センサー活用編~
IoTにはセンシング技術は欠かせません。
ところが、そのセンシング技術単体ではあまり意味がないんですね。
それでも売ろうとしているメーカーはこういったことを謳っています。
工作機械や加工部品に取り付けることで、温度や湿度などのデータを収集。
環境を適正化することで精度を向上できる!作業場内の温度や湿度を測定することで、効率的な空調コントロールが可能になり、作業員の健康管理にも役立つ。
温度変化による悪影響をリアルタイムで監視!
コスト削減!
精度の向上!
業務効率化!
健康・安全管理!
これも、現場を知っている人からすると全く刺さらない内容ですね。
いくつか反論をしていきましょう。
反論①:環境の適正化なんてとっくにやってる!
温度・湿度とかの製造に適した環境整備なんてとっくにやってる!
技術のプロであればどういう環境であれば製造や検査が適正にできるかってことはセンサーなんぞなくても知っているし、例えば設備を部屋で囲って空調しやすくするとかなんてやってる。
問題は、センシング技術がないから環境精度が上がらないんじゃなくて、もっとハード的な問題で、建屋とか空調のコントロールとかだから、お金出せば精度を上げられることも知ってる。
そうなんですよね。
例えば金属加工だったら、温度による変化だってあるし、そもそも加工中の摩擦熱を下げるためにクーラント使ってたりもするわけで、一般的な空調整備さえあれば環境整備はできるんだからとっくにやってるんですよね。
反論②:作業員の健康第一なんて当たり前!
作業員が作業しやすい環境整備なんて当たり前。
昭和じゃないんだから。
問題は、センシングできないから健康を考えた環境整備ができないんじゃなくて、単純に建屋や空調設備などが高額すぎるからできなくて、扇風機とかスポットクーラーとかにしているだけ。
もう一度言うけど、センサーがないからできないわけじゃないから!
作業員だから暑さに耐えられるとか、暑さに耐えないとダメとかなんて全然ないですよね。
高度なセンシング技術なんてなくても、一般的な設備で対応できるんですよ。
ただ、それが高額すぎるっていう話ですね。
反論③:何と何のデータを使って適正条件見つけるの?
「製造の適正条件見つける」って言うけど、何と何のデータを使って適正条件を見つけるの?
そもそも、何のデータをセンシングするか分かってなければ意味ないでしょ。
何の結果を求めて、その因子が何なのかってわかってるの?
分かってないのに闇雲にデータ取って「分析したら何かわかるかもしれないからやりましょう!」ってそんなことに投資できるわけないでしょ。
わけわからないデータ収集にお金をかけるほど余裕ないんですよね。
それに、適正条件は現場の技術者が日々工夫を重ねて身につけていったり、それを継承していったりするもの。
なのに、現場を知らない人がいきなり思いついたデータを使って最適条件なんて出せないんですよ。
反論④:空調コントロールしたらコスト上がる!
コストダウンとか言ってるけど、空調を精度よくコントロールしたら空調設備の分コスト上がるでしょ。
実際、そこまでしなくてもある程度のものはできるわけだし、そうまでして高い精度が必要なのであれば、製品の単価アップも含めてとっくに検討してる。
やっぱり、問題がセンシングできるかどうかじゃなくて空調設備に投資できるお金があるかどうかなんですよ。
そう。
空調の精度を上げれば条件が安定することなんて知ってるんですよね。
コストと効果の兼ね合いであって、そんな精密コントロール必要ないんですよね。
コストをかけるなら、製品単価が高い高精度加工とかにチャレンジするとかしないとダメですね。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
現場を知る人は絶対に引っかからないこんなセンサーの提案、していませんか?
とはいえ、何かしらの単純作業に思える作業を効率化したい、作業に当たる人の負担を減らしたい、というご相談もあるかと思います。
GEMBAコンサルティングは、きちんと現場に伺い、なんの目的でどんな作業をしているのかを現場でしっかり見させていただいた上で、現場に合った対策を一緒に考えていきたいと思います。
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