【SECIモデル】個人の知識を組織の知識へ~人材育成を圧倒的に加速させる4つのステップ~

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【SECIモデル】個人の知識を組織の知識へ~人材育成を圧倒的に加速させる4つのステップ~

組織の知識
組織の知識

「そのことならあの人に聞けばいいよ!」
「あのときってどうしたっけ?誰がやってたっけ?」
「あの人に辞められたらヤバイ!」
「その仕事はあの人しかできない!」

特定の頼られる人、それはさぞかし重要で、もしかしたら「そんな人材になりたい」なんていう美しい物語ありませんか?

ちょっと待った!

今回は、そうした文化にメスを入れるべく、【脱・属人化】の一部として、組織の知識としてナレッジ・ノウハウを育成していく手法について紹介していきます。

ISO9001においても、箇条7.2の部分で組織の知識のあり方に言及されています。俗にいう【ナレッジ・マネジメント】で有名な『SECIモデル』をレストランの具体例を交えながらなるべく簡単な言葉で紹介していきますので、ぜひ実践してみてください。

4つのステップ~SECIモデル~

SECIモデル

『SECIモデル』とは、

野中郁次郎教授(一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)が提唱した、知識創造活動に注目した、ナレッジ・マネジメントの枠組み。

のことです。

上の図のように、4つのフェーズを循環することで知識がレベルアップしていく、ということですね。

その各フェーズにおいて、「場」をデザインすることがカギと言われており、ちゃんと考えたりコミュニケーション取ったりする「場」を整えてあげることも大事!ということも言われています。

それでは、ひとつずつ見ていきましょう。

【知識の共同化】Socializaiton

共同化

【暗黙知から暗黙知へ】

共同化とは、経験したことをお話ししたりして情報共有し、頭の中の「暗黙知」を創造するプロセスです。難しく言うと、メンタルモデル(認知的=精神的暗黙知)や技能(技術的=身体的暗黙知)などの暗黙知を創造するプロセス、ということになります。

暗黙知を共有するためのポイントは “共体験” です。つまり、経験を何らかの形で共有することで、

「へ~、なるほど。。」
「あっ、そうなんだ!」

という感覚で、他人の思考プロセスに入り込んで知識が創造されることが必要ということです。

その際に必要な「場」が、

【創発場】

と呼ばれ、経験や思い、信念、考え方などのそれぞれの暗黙知を共有する場です。簡単に言えば「コミュニケーション」くらいに考えても良いと思います。

レストランで例えると、

「同じ席に座ってるお客様に料理を出すタイミングは合わせた方が良いよ」
「ランチのコーヒーとかは食後だけじゃなくて、時間がないお客様は最初に持っていった方が良いこともあるよ」

などのことを会話して共有するってことですね!

【知識の表出化】Externalization

表出化

【暗黙知から形式知へ】

表出化とは、人の頭の中にある知識を何かしらの形で表に出すプロセスです。暗黙知を明確なコンセプト(概念)に表すプロセス、とも言われ、それは、暗黙知がメタファー、アナロジー、コンセプト、仮説、モデルなどの形をとりながら次第に形式知として明示的になっていくプロセス、という難しい言い方もされたりしますね。

なんて書いていて、難しいので忘れてください(苦笑)

文字に書き出す!絵に描きだす!

くらいに考えておくと良いでしょう。

実はこの表出化のプロセス、提唱者の野中教授は、「知識創造の真髄である」としています。表出化は、対話(ダイアローグ)・共同思考によって引き起こされ、帰納法や演繹法といった論理思考も形式化の有力な方法論となります。

その際に必要な「場」が、

【対話場】

と呼ばれ、各自が対話(ダイアローグ)を通じて暗黙知を言語化・概念化して形式知に変換するための場なんですが、共同化のコミュニケーションと少し違うのは、共同化の場合は、コミュニケーションそのものを指すことに対して、この表出化は、コミュニケーションするために言葉にしたり、図に書いたり、文字で書いたりすることを指します。

レストランで例えると、

「新人に注文の取り方を言葉で教える」
「配膳のマニュアルを作る」

などが当てはまります。

【知識の連結化】Combination

連結化

【形式知から形式知へ】

連結化とは、表出化のプロセスで何かしらの形で表現された知識を組み合わせたりくっつけたりして、知識を体系化していくプロセスです。この知識変換モードでは、違う形で表現された形式知を組み合わせたりくっつけたりして、新たな形として表現していきます。IT的に言うと、データベースとネットワークを用いて情報を体系的な知識へと変換することが、連結化の典型例です。

こちらも小難しいので簡単に。

文字で書かれたり絵で書かれたりしている知識を合体させる!

くらいに考えておくと良いです(笑)

そんなときに必要な「場」は、

【システム場】

と呼ばれ、形式知を相互に移転・共有・編集・構築し、新たな体系の形式知へと統合する場です。IT関係の方には馴染みやすいかもしれませんが、そうでない方は、マニュアルとかを違う形で表現する、くらいに考えても良いでしょう!

レストランで例えると、

「作業のマニュアルに注意事項を付け加えておいて」
「メニュー表に写真も載せて」

などのことです。簡単ですね(笑)

【知識の内面化】Internalization

SECIモデルのひらめき

【形式知から暗黙知へ】

内面化とは、何かしらの形で表現された形式知を使って体験し、その体験を通じて知識やノウハウを中に取り入れることです。手の内化、とも言いますかね。行動による学習と密接に関連したプロセスです。形式化されたナレッジ・ノウハウが、新たな個人へと内面化されることで、その個人や所属する組織の知的資産となります。

こちらも簡単に。

文字や絵になっている知識やノウハウをやってみて、

「あ、そういうことか」
「あ~、なるほどね」

という納得感みたいな感じですね(笑)

そんなときに必要な「場」は、

【実践場】

です。

何かしらで見えている知識やノウハウを使ってやってみる!っていう場のことです。ここでは、単純な形式知の伝達ではなく、形式知に束ねる形で、何らかの経験的要素や人間的要素を提供することで、暗黙知としての移転・発展を促すことができるプロセスとします。サービス業などで特に重要な場ですね。

レストランで例えると、

「じゃあ、教えたとおりに注文取るのやってみようか」
「作業マニュアルに倣って配膳してみようか」
「はい、できました!」

みたいな感じです!

ノウハウ化サイクルをつくる~SECIモデルの実践~

SECIモデルのサイクル

さて、ここまでSECIモデルを紹介してきましたが、一番重要なプロセスは、野中教授の考える通り、「表出化」であると考えています。

私がこれまで関わってきた主に製造業のお客様の場合、この「表出化」のプロセスができずにノウハウの進化や組織の知識化ができないでいるお客様が非常に多いです。

そして、私がまず取り掛かるのは、知識の形式知化、つまり「表出化」の作業であることがほとんどです。

それによって、技術教育の労力を削減したり、発生した不具合を防ぐためのノウハウを付け加えていったりして、個人の中ではなく組織に知識を蓄積する。

そんなプロセスを作り上げることが、結果的に組織を強くする基盤・文化づくりとなります。

そして、誰でもできる作業を増やし、人はより高い価値を求めて創意工夫するサイクルを回し、【脱・属人化】を進めるとともに強い組織を作っていきましょう!

コンサルティングの相談もお待ちしております。


著者

大原 健佑

出身:長野県長野市 最終学歴:東北大学 工学部 金属工学科 卒
保有資格:中小企業診断士・QMS審査員補/2015 (JRCA登録番号:A22594)(ISO9001審査員資格) ・QC(品質管理)検定1級 ・フォークリフト ・床上操作式クレーン ・玉掛け

ものづくり企業の生産性向上と人財育成を促進する専門家。
「現場が自ら動く!」「現場に任せる!」「業務改善を圧倒的に加速させる!」「技術開発を確実に進める!」をベースに、各ものづくり企業の業務改善プロジェクトに参画し、プロデュースを行っている。