「現場の情報を整理して見える化する」ってこういうこと!

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「現場の情報を整理して見える化する」ってこういうこと!

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いきなりですが、

「まずは現場の情報を整理すること」
「情報を見える化すること」

ってコンサルタントが良く言うんです。

でもこれ、「どういうこと??」って思いませんか?

昨今のIT活用促進に伴って、IT導入コンサルタント、システムコンサルタントなど、いろんなコンサルタントやアドバイザーがいます。そうしたコンサルタントは、製造現場で働いた経験がないことが多く、具体的に製造業の現場での情報の見える化はどういうことなのか分からないで助言しているケースも多いです。そこで、この記事では、製造業の現場を意識した“情報の見える化”の効果について紹介していきます。

見える化は目的にあらず

まず言いたいのは、

「“情報を見える化”することを目的としてはいけない」

ということです。

多くのITシステム販売会社は、

「経営層にも現場の実態が見えるようになりますよ!」
「管理職の方も現場が見える化できますよ!」
「ほら、こう円グラフとか折れ線グラフで見えたら便利でしょ!」

という謳い文句で営業をしてきます。

この時点で見える化が目的になっているんですね。

なぜなら、彼らは製造業の現場で働いたことがないので、見える化した情報をどのように活用したら良いのかを知らないのです。

見える化した製造業の現場の情報を自らが活用したことがないのです。

ですので、

「ほら、見える化したら何かの役に立つでしょ!」

というように、どうしても見える化することを目的にした商品販売にならざるを得ないんですね。

目的はムダの発見

育成

さて、一方の現場で勤務したことがある人は何を考えているかというと、見える化することは手段の一つとして優先度は必ずしも高くない認識をしています。

それ以上に現場の改善や効率化を進めたいと考えているんです。

つまり、何から解決したらいいのか、取り組みの優先順位はなんなのか、など、今後の方向を見えるようにしたいんですよね。

この時、出発点はこんな感情にあるはずです。

「なんとなくここにムダがありそうだけど、本当にムダがあるのか、どのくらいムダがあるのかを見てみたい」

そう、つまり、ただあらゆる情報を見える化したいのではなく、“見たい情報を見える化したい”ということなんですね。

闇雲にあらゆる情報を見える化しようとすることは効率が悪すぎます。

費用が掛からなかったとしても、取った情報を整理して見えるようにする手間がムダすぎます。

特に中小企業は、費用面でも人的工数の面でも、こんなムダなことはしてはいけません。

きちんと仮説を立て、その検証として情報を見える化してみる。

この基本を忘れてはいけませんね。

見える化とは“指標化”と“定量化”

ただ一言に“見える化”と言いますが、それには二つの要素を含んでいます。

1つは“指標化”、もう1つは“定量化”です。

見える化①:指標化

指標化とは、製造業の現場で例えれば、「生産高」や「設備稼働率」や「良品率」などの項目のことを指します。

折れ線グラフであろうが円グラフであろうが、その指標が見たいものじゃなければ意味がありません。

良く営業的な例えで言われるのが稼働率です。

私は、正直に言ってこの稼働率だけが見えても現場の改善に対してはほとんど意味がないと思っています。

減価償却が終わったような設備が稼働していようがいまいがあまり関係ないんです。

もちろん設備的な余力を知ることができますが、余力があるから受注を取りに行く、なんてことは感覚的に分かりますし、それとともに人的資源管理もできていなければ意味はありません。

それなのに、

「ほら、設備の稼働率が見えるんです!」
「設備が稼働しているかどうかがリアルタイムに見れるんです!」

って言ったところで、それを見た人が何かアクション出来るかと言われたら、それほど大したことはできない。

そこに高額な投資なんてできないわけですよね。

企業や現場によって、見たい指標は全く異なります。

なぜなら、課題を感じている部分がそれぞれの現場によって違うからです。

その現場の課題感に沿った指標の設定をしなければ、そこで現れてくる視覚的情報はただの景色に過ぎないと言えるでしょう。

製造業の現場を経験していない人が、そんなそれぞれの現場の課題感に対する指標を的確に提案できるとは思えません。

見える化②:定量化

もう1つの見える化は定量化、すなわち“数値化”です。

数字としてそのボリュームを把握することはとても重要ですが、現場のあらゆる情報を取ってそれを後からごちゃごちゃと組み合わせて分析する方法は全くお勧めしません。

上述の指標化を適切に行った後、その指標計算に必要な情報を取りに行く

この順番を間違えないようにしてください。

そうしないと、そもそもムダの発見のために進めている見える化の作業そのものにムダが多くなってしまいます。

大企業の場合には、アナリストなんかもいたり分析を外注したりする体力があるのでしょうが、中小企業の場合はそんなことやってる場合ではありません。

もう一度繰り返しますが、

欲しい指標を数値として出すためには、現場からどんな情報を取ればいいのか。

この順番を忘れないようにしましょう。

おわりに

いかがでしょうか。

“見える化”という、いわばバズワード的で抽象的な表現にも、きちんとプロセスがあることをご理解いただけたでしょうか。

1.まずは自社内で仮説を立てる。
2.その仮説を検証するための指標を作る。
3.作った指標を定量化するための情報を取る。

このプロセスを守って、ムダな投資をすることなく見える化を進め、業務効率化の切り口を見つけていってほしいと思っています。

「ウチの場合はどんな風に指標を考えたらいいの?」

こういったご相談がございましたら、遠慮なくお問い合わせください。


動画もぜひご確認ください。


著者

大原 健佑

出身:長野県長野市 最終学歴:東北大学 工学部 金属工学科 卒
保有資格:中小企業診断士・QMS審査員補/2015 (JRCA登録番号:A22594)(ISO9001審査員資格) ・QC(品質管理)検定1級 ・フォークリフト ・床上操作式クレーン ・玉掛け

ものづくり企業の生産性向上と人財育成を促進する専門家。
「現場が自ら動く!」「現場に任せる!」「業務改善を圧倒的に加速させる!」「技術開発を確実に進める!」をベースに、各ものづくり企業の業務改善プロジェクトに参画し、プロデュースを行っている。