稼働率とは?計算式・可動率との違い・OEE改善まで製造業向けに解説

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稼働率とは?計算式・可動率との違い・OEE改善まで製造業向けに解説

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製造業の現場では、

「稼働率を上げたい」
「設備の稼働時間を見える化したい」
「稼働率が低い原因を知りたい」

といった相談がよくあります。

しかし、ひとことで稼働率と言っても、実際には複数の意味があります。

たとえば、設備が止まらずに動いていた時間を見るのか、設備本来のスピードで動いていたかを見るのか、不良や手直しまで含めて価値を生んでいた時間を見るのかによって、使う指標も改善すべき内容も変わります。

この記事では、製造業で使われる稼働率の全体像を整理し、時間稼働率・性能稼働率・良品率・設備総合効率、いわゆるOEEの違いと計算式を解説します。

時間稼働率の詳しい計算式と停止ロスの見方はこちら

また、稼働率と可動率の違い、稼働率を改善するときの注意点、現場での進め方についても紹介します。

稼働率とは?

稼働率とは、設備やライン、人が、使える時間のうちどれだけ有効に使われているかを示す指標です。

ただし、製造業で稼働率を見るときには、「動いていたかどうか」だけを見ても十分ではありません。

なぜなら、設備が動いていても、本来のスピードより遅く動いている場合があります。

また、設備が動いて製品を作っていても、不良品や手直しが多ければ、実際には価値を生んでいる時間は少なくなります。

そのため、製造業では稼働率を次のように分けて考えることが重要です。

指標見ているもの主なロス
時間稼働率設備が止まらずに動いていた時間故障、段取り、材料待ち、作業待ち
性能稼働率設備本来のスピードに対する実績チョコ停、速度低下、空運転
良品率正味稼働時間のうち価値を生んだ時間不良、手直し、廃棄
設備総合効率/OEE設備全体の活用度停止ロス、性能ロス、不良ロス

稼働率を改善するには、まず「どの稼働率を見ているのか」を明確にする必要があります。

稼働率と可動率の違い

稼働率と混同されやすい言葉に「可動率」があります。

稼働率は、設備や人がどれだけ使われていたかを表す指標です。

一方、可動率は、動くべきときに正常に動ける状態にあるかを表す考え方です。

たとえば、仕事量が少なく、設備を1日4時間しか使っていない場合、稼働率は低くなります。

しかし、その4時間のあいだ故障せず、必要なときに確実に動いていれば、可動率は高いと言えます。

逆に、受注が多く設備を長時間使っていても、故障やチョコ停が頻発している場合は、稼働率が高く見えても可動率は低い状態です。

つまり、稼働率は「どれだけ使ったか」、可動率は「使いたいときに使えるか」を見る指標です。

現場改善では、この違いを分けて考えることが重要です。

稼働率だけを追いかけると、必要以上に設備を動かして過剰在庫を作ってしまうことがあります。

一方、可動率だけを見ていても、需要に対して設備が十分に活用されているかは分かりません。

製造業で使われる稼働率の計算式

稼働率を正しく使うには、計算式の意味を理解しておく必要があります。

代表的な計算式は次の通りです。

指標計算式意味
時間稼働率稼働時間 ÷ 負荷時間設備が停止せずに動いていた割合
性能稼働率正味稼働時間 ÷ 稼働時間本来のスピードに対してどれだけ生産できたか
良品率価値稼働時間 ÷ 正味稼働時間不良や手直しを除いて価値を生んだ割合
設備総合効率/OEE時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率設備全体の活用度

ここで重要なのは、稼働率は単独で見るよりも、分解して見る方が改善につながりやすいということです。

たとえば、設備総合効率が低い場合でも、原因が停止ロスなのか、速度低下なのか、不良ロスなのかによって、打つべき対策はまったく異なります。

時間稼働率とは?

時間稼働率とは、負荷時間に対して、設備が実際に稼働していた時間の割合を示す指標です。

計算式は次の通りです。

時間稼働率 = 稼働時間 ÷ 負荷時間

たとえば、1日の負荷時間が8時間あり、そのうち故障、段取り、材料待ちなどで1時間停止していた場合、稼働時間は7時間です。

この場合、時間稼働率は次のようになります。

7時間 ÷ 8時間 = 87.5%

時間稼働率が低い場合、主な原因は設備が止まっていることです。代表的なロスには、設備故障、段取り替え、材料待ち、作業者待ち、検査待ちなどがあります。

時間稼働率を見ることで、「そもそも設備が動けていたのか」を確認できます。

時間稼働率の計算式・停止ロスの詳しい見方はこちら

性能稼働率とは?

性能稼働率とは、設備が稼働していた時間のうち、本来の能力に対してどれだけの性能を発揮できていたかを示す指標です。

計算式は次の通りです。

性能稼働率 = 正味稼働時間 ÷ 稼働時間

設備は止まっていなくても、本来のスピードより遅く動いていることがあります。また、短時間の停止、いわゆるチョコ停が頻発している場合も、見かけ上は稼働しているように見えますが、実際の生産量は落ちます。

たとえば、設備は7時間動いていたものの、チョコ停や速度低下によって、本来なら7時間で作れる量に対して実績が6時間分しかなかった場合、性能稼働率は次のようになります。

6時間 ÷ 7時間 = 85.7%

性能稼働率が低い場合は、設備の速度低下、チョコ停、空運転、作業者の投入遅れ、前後工程とのバランス崩れなどを確認します。

時間稼働率が高いのに生産量が伸びない場合は、性能稼働率に問題があるかもしれません。

チョコ停・速度低下を分析する性能稼働率の詳しい解説はこちら

良品率とは?

良品率とは、正味稼働時間のうち、実際に価値を生んだ時間の割合を示す指標です。

計算式は次の通りです。

良品率 = 価値稼働時間 ÷ 正味稼働時間

一般的には、良品率というと「良品数 ÷ 製造数」を思い浮かべるかもしれません。しかし、設備稼働率やOEEの文脈では、良品率を時間で考えることが重要です。

なぜなら、不良品を作っていた時間や手直しにかかった時間は、設備が動いていても、本来の価値を生んでいない時間だからです。

たとえば、正味稼働時間が6時間あり、そのうち不良や手直しによるロスが30分あった場合、価値稼働時間は5.5時間です。

この場合、良品率は次のようになります。

5.5時間 ÷ 6時間 = 91.7%

良品率が低い場合は、不良の発生数だけでなく、手直し時間、再検査時間、廃棄、後工程での戻り作業なども確認する必要があります。

不良率だけを見ていると、手直しにかかっている時間や、現場で当たり前になっている修正作業を見落としてしまうことがあります。

良品率の計算式・歩留まり率との違いはこちら

設備総合効率/OEEとは?

設備総合効率、またはOEEとは、設備がどれだけ価値ある生産に使われていたかを総合的に見る指標です。

計算式は次の通りです。

OEE = 時間稼働率 × 性能稼働率 × 良品率

たとえば、次のような状態だったとします。

指標数値
時間稼働率87.5%
性能稼働率85.7%
良品率91.7%

この場合、OEEは次のようになります。

87.5% × 85.7% × 91.7% = 約68.8%

一つひとつの指標を見ると大きな問題がないように見えても、掛け合わせると設備全体の効率は大きく下がることがあります。

これが、設備稼働率やOEEを見る意味です。

設備が止まっていないか、本来の速度で動いているか、不良や手直しなく価値を生んでいるかを分解して見ることで、改善すべきポイントが明確になります。

OEEで設備全体のロスを見る方法はこちら

稼働率が低くなる主な原因

稼働率が低いとき、原因を一つに決めつけるのは危険です。

設備が止まっているのか、速度が落ちているのか、不良や手直しが多いのかを分けて確認する必要があります。

主な原因は次の通りです。

ロスの種類主な原因関連する指標
停止ロス故障、段取り、材料待ち、作業待ち時間稼働率
性能ロスチョコ停、速度低下、空運転、ラインバランス不良性能稼働率
品質ロス不良、手直し、再検査、廃棄良品率
計画・需要の問題受注不足、過剰設備、計画変更稼働率全体

特に注意すべきなのは、稼働率が低いこと自体が必ずしも悪いとは限らない点です。

需要が少ないにもかかわらず、稼働率を上げるためだけに作り続けると、過剰在庫やキャッシュフロー悪化につながります。

稼働率は、単に高ければよい指標ではありません。必要なものを、必要なタイミングで、安定して作れる状態を目指すための指標として使うことが重要です。

稼働率を改善する前に決めるべきこと

稼働率改善を始める前に、まず決めるべきことがあります。

それは、「何のために稼働率を見るのか」です。

目的が曖昧なまま稼働率を測ると、数字を出すこと自体が目的になってしまいます。現場では記録作業だけが増え、改善につながらないこともあります。

稼働率を見る前に、少なくとも次の点を決めておく必要があります。

決めること具体例
対象設備単体、ライン全体、工程、人員
目的生産能力の把握、ボトルネック特定、改善テーマ設定
分母負荷時間、就業時間、計画稼働時間
停止の定義何分以上を停止とするか、チョコ停を含めるか
記録方法日報、設備ログ、IoT、手入力
改善判断どの数値を改善対象にするか

たとえば、設備の能力を把握したい場合と、生産計画の精度を上げたい場合では、見るべき稼働率が変わります。

また、同じ「停止時間」でも、段取り時間を停止ロスに含めるのか、計画停止として除外するのかによって、数字は大きく変わります。

そのため、稼働率を測る前に、社内で定義をそろえることが重要です。

稼働率改善の進め方

稼働率を改善するときは、いきなり設備投資やIoT導入を考えるのではなく、まず現場のロスを分解して把握することが大切です。

進め方は次の通りです。

1. 対象設備・対象工程を決める

まず、どの設備や工程の稼働率を見るのかを決めます。

全設備を一度に測ろうとすると、記録が大変になり、改善活動がぼやけます。最初は、ボトルネックになっている設備、残業や納期遅れに影響している工程、トラブルが多いラインなどに絞るのがよいでしょう。

2. 時間の定義をそろえる

次に、負荷時間、稼働時間、停止時間、正味稼働時間、価値稼働時間の定義をそろえます。

ここが曖昧だと、部署や担当者によって数字の意味が変わってしまいます。

3. ロスを分類する

停止ロス、性能ロス、品質ロスに分けて、何がどれだけ発生しているかを確認します。

このとき、「その他」を増やしすぎないことが重要です。その他が多いと、結局どこを改善すればよいか分からなくなります。

4. 大きいロスから対策する

すべてのロスを一度に解決しようとする必要はありません。

まずは、発生時間が長いロス、発生頻度が高いロス、現場の負担が大きいロスから優先順位をつけます。

たとえば、停止時間の大半が段取り替えであれば、外段取り化や治具改善が有効です。チョコ停が多ければ、発生箇所、発生タイミング、復旧作業を細かく見ます。不良や手直しが多ければ、作業条件、検査基準、工程設計を見直します。

5. 改善後に同じ定義で再測定する

改善活動では、対策前後を同じ定義で比較することが重要です。

途中で計算式や記録方法を変えてしまうと、改善したのか、数字の出し方が変わっただけなのか分からなくなります。

稼働率改善でよくある失敗

稼働率改善では、次のような失敗がよくあります。

稼働率100%を目標にしてしまう

稼働率100%は、一見すると良い目標に見えます。

しかし、需要以上に設備を動かせば、過剰在庫になります。また、設備や作業者に余裕がなくなり、故障、不良、労務負担が増えることもあります。

稼働率は、100%を目指すものではなく、事業や現場の目的に合わせて適正な状態を見極めるものです。

設備が動いている時間だけを見る

設備が動いている時間だけを見ると、速度低下やチョコ停、不良ロスを見落とします。

動いているように見えても、本来の能力を発揮できていなければ、生産性は上がりません。

そのため、時間稼働率だけでなく、性能稼働率や良品率も合わせて見る必要があります。

現場に記録負担だけを増やしてしまう

稼働率を見える化しようとして、細かすぎる記録を現場に求めると、記録作業が負担になります。

最初から完璧なデータを取ろうとするよりも、改善に使える粒度で始めることが大切です。

たとえば、最初は停止理由を大分類で記録し、改善テーマが見えてきたら詳細分類に分ける方法もあります。

不良や手直しを軽く見てしまう

不良率が低い現場でも、手直し時間が多い場合があります。

手直しが当たり前の作業になっていると、現場ではロスとして認識されにくくなります。しかし、手直しは本来の価値を生む時間ではありません。

良品率を見ることで、不良数だけでは見えない品質ロスを把握できます。

稼働率は「数字を出すこと」ではなく「改善につなげること」が目的

稼働率を測る目的は、数字を出すことではありません。

本当の目的は、現場のどこにロスがあり、どこから改善すべきかを明らかにすることです。

そのためには、稼働率を一つの数字として見るのではなく、時間稼働率、性能稼働率、良品率に分解して見ることが重要です。

  • 設備が止まっているなら停止ロスを減らす。
  • 設備は動いているが能力を発揮できていないなら性能ロスを減らす。
  • 製品は作れているが不良や手直しが多いなら品質ロスを減らす。

このように分解して考えることで、改善活動は具体的になります。

まとめ

稼働率とは、設備やライン、人がどれだけ有効に使われているかを示す指標です。

ただし、製造業では稼働率を一つの数字で見るのではなく、次のように分けて考える必要があります。

指標役割
時間稼働率設備が止まらずに動いていたかを見る
性能稼働率設備本来のスピードで動いていたかを見る
良品率不良や手直しを除いて価値を生んでいたかを見る
設備総合効率/OEE設備全体の活用度を見る

稼働率を改善するには、まず定義をそろえ、対象設備や対象工程を決め、ロスを分類することが重要です。

そして、稼働率は高ければよいというものではありません。需要、在庫、納期、品質、現場負荷とのバランスを見ながら、適正な状態を目指す必要があります。

自社の稼働率を正しく把握したい場合は、まず「どの稼働率を、何のために見るのか」を明確にするところから始めてください。


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FAQ

稼働率とは何ですか?

稼働率とは、設備やライン、人が、使える時間のうちどれだけ有効に使われているかを示す指標です。製造業では、時間稼働率、性能稼働率、良品率、設備総合効率/OEEに分けて考えると改善につなげやすくなります。

稼働率と可動率の違いは何ですか?

稼働率は、設備や人をどれだけ使っていたかを見る指標です。可動率は、使いたいときに正常に動ける状態にあるかを見る考え方です。稼働率は需要や生産計画の影響を受けますが、可動率は設備の信頼性や保全状態に近い考え方です。

稼働率は高いほど良いですか?

必ずしも高いほど良いとは言えません。需要以上に設備を動かすと、過剰在庫や現場負荷の増加につながることがあります。稼働率は、事業の目的や生産計画に合わせて適正な状態を目指すことが重要です。

OEEとは何ですか?

OEEとは、設備総合効率のことで、時間稼働率、性能稼働率、良品率を掛け合わせて算出します。設備が止まっていないか、本来の速度で動いているか、不良や手直しなく価値を生んでいるかを総合的に見る指標です。

稼働率改善は何から始めればよいですか?

まずは、対象設備や工程を決め、負荷時間、稼働時間、停止時間などの定義をそろえることから始めます。そのうえで、停止ロス、性能ロス、品質ロスに分けて記録し、最も大きいロスから改善テーマを設定します。

著者

大原 健佑

出身:長野県長野市 最終学歴:東北大学 工学部 金属工学科 卒
保有資格:中小企業診断士・QMS審査員補/2015 (JRCA登録番号:A22594)(ISO9001審査員資格) ・QC(品質管理)検定1級 ・フォークリフト ・床上操作式クレーン ・玉掛け

ものづくり企業の生産性向上と人財育成を促進する専門家。
「現場が自ら動く!」「現場に任せる!」「業務改善を圧倒的に加速させる!」「技術開発を確実に進める!」をベースに、各ものづくり企業の業務改善プロジェクトに参画し、プロデュースを行っている。